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高校野球

阪神やDeNAは獲得すれば未来は安泰? 課題の守備力も向上した“打てる捕手”松尾汐恩を推したい理由――“超高校級逸材3傑”の未来を占う

西尾典文

2022.09.24

以前から打力に定評があった松尾。この夏には守備面でもプロに通用するぐらいに成長した証を見せた。写真:塚本凜平

以前から打力に定評があった松尾。この夏には守備面でもプロに通用するぐらいに成長した証を見せた。写真:塚本凜平

 アメリカで開催されていたU-18ワールドカップも終わり、現在の高校3年生世代の試合は、公開競技として行なわれる国民体育大会を残すのみ。ドラフト会議が約1か月後に迫り、高校球界逸材たちの進路に対する関心も高まっている。

 今年の甲子園を経験した「スター」と言える選手で、プロ入りが有力視されているのは、浅野翔吾(高松商)、山田陽翔(近江)、松尾汐恩(大阪桐蔭)だろう。

 では、すでに多くのプロ球団がリストアップしているとされる彼らにマッチしそうな球団はどこか。現在のチーム事情などから探ってみたいと思う。今回は、松尾のポテンシャルを分析している。

【動画】審判、相手、試合にリスペクト!国際大会で話題となったお辞儀をして打席に入る松尾の所作をチェック

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 強肩強打の高校ナンバーワン捕手として高い注目を集めている松尾。しかし、昨秋の時点ではそこまで圧倒的な評価を得ていたわけではなかった。特に不安視されていたのが守備面だ。

 中学時代はピッチャーとショートでプレーしてきた松尾がキャッチャーに転向したのは、高校入学後。そうした背景もあって、昨年まではキャッチングやブロッキングで軽率なプレーが目立っていた。
 
 しかし、春から夏にかけて守備面は全般的に向上。ハンドリングが改善され、持ち味の強肩がさらに活きるようになった。今夏の甲子園ではプロでもトップクラスとなる1.7秒台という二塁への送球タイムもマークし、その成長ぶりを存分にアピール。また、打撃もバットを引く動きが小さくなり、確実性がアップした印象だ。近年の高校生捕手では2球団が競合した中村奨成(広陵→広島)に近い評価を得ていると言える。

 正捕手候補が欲しい球団は少なくない。そのなかで、最初に挙げたいのが、先日に松尾を1位候補としていると報じられた阪神だ。

 現状、阪神の捕手陣は、来年で正捕手の梅野隆太郎が32歳、2番手の坂本誠志郎が30歳となり、そろそろ新たなレギュラー候補が欲しい年代となっている。近年のドラフトでは藤田健斗、中川勇斗と高卒捕手を獲得し、ともに二軍では成長が見られるが、正捕手候補となるかに関しては未知数な部分が多いのは事実だ。

 また、大卒の栄枝裕貴も含めて若手捕手は守備型の選手という印象が否めない。そのロースター状況を考えても、打撃の評価が高い松尾を獲得して将来的な正捕手の候補とするのも、チームの将来を見据えても良い選択ではないだろうか。数年後には松尾が正捕手で藤田と中川が控えとして支えるという形ができれば、阪神のキャッチャー事情は長く安泰となる可能性は高いと言える。
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