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高校野球

阪神やDeNAは獲得すれば未来は安泰? 課題の守備力も向上した“打てる捕手”松尾汐恩を推したい理由――“超高校級逸材3傑”の未来を占う

西尾典文

2022.09.24

夏の甲子園では全国制覇を逃した。その悔しさを松尾はプロの舞台で晴らせるか。写真:塚本凜平

夏の甲子園では全国制覇を逃した。その悔しさを松尾はプロの舞台で晴らせるか。写真:塚本凜平

 捕手事情という意味では、DeNAも転換期を迎えている。

 現在は嶺井博希、戸柱恭孝、伊藤光の3人が主にマスクをかぶっているが、揃って30歳を超えており、彼らに次ぐ存在となると大きな力の差があるというのが現状だ。阪神と同様に益子京右、東妻純平と高卒捕手は積極的に獲得しているが、いずれも下位での指名であり、将来の正捕手候補と呼ぶには少し物足りない。

 浅野(高松商)の獲得も有力な球団のひとつとして挙げたが、ここ数年の懸念ポイントである捕手を優先して松尾を真っ先に指名するというのも選択肢として面白いのではないだろうか。
 
 一方のパ・リーグではオリックスを挙げたい。伏見寅威、若月健矢、頓宮裕真の3人を上手く使い分けているが、伏見はベテランとなり、頓宮はファーストでの起用も多いことを考えると有力な正捕手候補が欲しいという声が出てもおかしくはない。

 この2年のドラフトで獲得した中川拓真、福永奨の2人が守備重視の選手という点も阪神、DeNAと重なる部分である。投手、野手とも上位指名した高校卒の楽しみな選手が多く、またレギュラー陣の顔ぶれを見ても無理に即戦力候補を指名しなくても良い印象を受ける。ここに捕手のトッププロスペクトが加われば、更にチームの将来は明るくなるのは間違いない。

 昨年はロッテが松川虎生を1位で指名し、1年目から佐々木朗希の完全試合達成に貢献するなど大きな戦力となっている。松川もプロ入り前はそこまで守備面の評価が高かったわけではなく、捕手としてのポテンシャルの高さは松尾も大差はないという印象だ。とくに「打てる捕手」は希少価値が高いだけに、思い切って最初の入札で1位指名する球団が出てくるのも大いに考えられるだろう。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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