6月の借金9から怒涛の快進撃で2位フィニッシュを決めた今季のDeNA。三浦大輔監督が「先発投手がしっかりとゲームを作ってくれたことが大きな要因」と振り返ったなかで、特に際立った存在だったのはエース・今永昇太の活躍だ。
【動画】エース・今永が吠えた! 村上宗隆を気合いのストレートで三振に仕留める
「勝つこととプラスアルファでチームにもたらせなくてはいけない。例えば中継ぎを休ませるとか悪い流れを断ち切るとか、相手のエース級に投げ勝つとか。そういうプラスアルファのことが、これから求められていると思うんで、そういう立場だとしっかり自覚したい」
今永はそう強く語っていたが、まさに“有言実行”だったのが、8月のピッチングだ。5先発負けなしで防御率1.25、QS率は100%。さらに、すべてカード頭の火曜日に登板し、森下暢仁(広島)、青柳晃洋(阪神)は2回、菅野智之(巨人)と他球団のエースをなぎ倒してきた。オールスター後は9試合で7勝1敗、防御率1.54と圧巻の成績を残している。
今永は、「できないことをやらなくなった」ことが好結果につながったと語る。
このセリフを最初に口にしたのは、8月9日の阪神戦の前日のことだった。6月17日に青柳と対戦した際は、6回6失点で炎上。「青柳投手を意識しすぎて、『彼に負けないような投球をしなきゃいけない』っていうのが少し自分を苦しくしてしまった」と自己分析し、その約2ヵ月には113球の完投勝利で見事リベンジに成功した。以降、「欲からミスが出ることがある」と自然体で挑み続けた。
冷静な“自己分析”も好投の源泉となっている。今永は言う。
「自分と相手(打者)の力の差を天秤にかけて、通用するボール・通用しないボールを選択する。それはもちろんキャッチャーの力も借りるんですけど、自分自身でもそれができるようになったことが成長したところかなと思います。天秤にかけた時に、このボールは意味があるのかないのか、自分のエゴじゃないのかというところを確認しながら投げるようにはしていますね」
同じように指揮官も、「1球1球しっかりとした意図を持って投げている。その中で相手との駆け引きもできてきています」と、今永と同じベクトルの分析をしつつ、「もちろんチームが勝つために投げているんですけれども、その対戦を楽しんでいるのかなと」とも見ている。
「マウンド上で駆け引きを楽しんでいる。これ行ってこの反応を引き出して、次はこれを行く。こっち行ったら、ああそうきたかと、打者と駆け引きが楽しめるようになってきているのかなと。もちろん緊迫して緊張感のある中で、余裕とまではいかないまでも、それができている。野球の楽しさ、投手としての面白さを感じて投げているなと、見ていて思いますね」
10月1日の巨人戦では、相手のCS進出を断つピッチングでチームトップタイの11勝を挙げ、チーム唯一の規定投球回数をクリアした。それでも、お立ち台ではしゃぐことは一切なく、「こういうのを当たり前にやれるのがプロ野球だと思うので、これを当たり前と思ってもらえるようなハードルの高い選手でいたい」とサラリと言ってのけた。
明日8日から始まるCSファーストステージ。“投げる哲学者”は「見えない力というものがこれほどあるんだなと、選手全員、気づかされたと思うので、明日も自分の力以上のものを出せると思う」と、ファンの声援も借りてCS突破、そして下剋上での日本一に向けて静かに熱く、闘志を燃やしている。
取材・文・写真●萩原孝弘
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「勝つこととプラスアルファでチームにもたらせなくてはいけない。例えば中継ぎを休ませるとか悪い流れを断ち切るとか、相手のエース級に投げ勝つとか。そういうプラスアルファのことが、これから求められていると思うんで、そういう立場だとしっかり自覚したい」
今永はそう強く語っていたが、まさに“有言実行”だったのが、8月のピッチングだ。5先発負けなしで防御率1.25、QS率は100%。さらに、すべてカード頭の火曜日に登板し、森下暢仁(広島)、青柳晃洋(阪神)は2回、菅野智之(巨人)と他球団のエースをなぎ倒してきた。オールスター後は9試合で7勝1敗、防御率1.54と圧巻の成績を残している。
今永は、「できないことをやらなくなった」ことが好結果につながったと語る。
このセリフを最初に口にしたのは、8月9日の阪神戦の前日のことだった。6月17日に青柳と対戦した際は、6回6失点で炎上。「青柳投手を意識しすぎて、『彼に負けないような投球をしなきゃいけない』っていうのが少し自分を苦しくしてしまった」と自己分析し、その約2ヵ月には113球の完投勝利で見事リベンジに成功した。以降、「欲からミスが出ることがある」と自然体で挑み続けた。
冷静な“自己分析”も好投の源泉となっている。今永は言う。
「自分と相手(打者)の力の差を天秤にかけて、通用するボール・通用しないボールを選択する。それはもちろんキャッチャーの力も借りるんですけど、自分自身でもそれができるようになったことが成長したところかなと思います。天秤にかけた時に、このボールは意味があるのかないのか、自分のエゴじゃないのかというところを確認しながら投げるようにはしていますね」
同じように指揮官も、「1球1球しっかりとした意図を持って投げている。その中で相手との駆け引きもできてきています」と、今永と同じベクトルの分析をしつつ、「もちろんチームが勝つために投げているんですけれども、その対戦を楽しんでいるのかなと」とも見ている。
「マウンド上で駆け引きを楽しんでいる。これ行ってこの反応を引き出して、次はこれを行く。こっち行ったら、ああそうきたかと、打者と駆け引きが楽しめるようになってきているのかなと。もちろん緊迫して緊張感のある中で、余裕とまではいかないまでも、それができている。野球の楽しさ、投手としての面白さを感じて投げているなと、見ていて思いますね」
10月1日の巨人戦では、相手のCS進出を断つピッチングでチームトップタイの11勝を挙げ、チーム唯一の規定投球回数をクリアした。それでも、お立ち台ではしゃぐことは一切なく、「こういうのを当たり前にやれるのがプロ野球だと思うので、これを当たり前と思ってもらえるようなハードルの高い選手でいたい」とサラリと言ってのけた。
明日8日から始まるCSファーストステージ。“投げる哲学者”は「見えない力というものがこれほどあるんだなと、選手全員、気づかされたと思うので、明日も自分の力以上のものを出せると思う」と、ファンの声援も借りてCS突破、そして下剋上での日本一に向けて静かに熱く、闘志を燃やしている。
取材・文・写真●萩原孝弘
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