10月20日に行なわれるプロ野球ドラフト会議。各チームの育成状況や弱点を踏まえたうえで、「誰を指名するか」ではなく「誰を指名するべきか」という観点からドラフトを展望する。

【指名方針】
・バランス重視

【補強ポイント】
・今年No.1の実力を持つ将来の正捕手候補
・次世代の中軸を担える右打ち内野手
・一軍の層を厚くできる内野手

　昨年の最下位から２位に躍進したDeNA。この勢いそのままに、来季こそリーグ優勝、そして常にＡクラスに定着できる球団への発展を期待したいが、そのために今年は「野手中心ドラフト」を目指すべきだ。

　今年は一軍のキャッチャー陣が結果を残した。嶺井博希、戸柱恭孝、伊藤光の併用が機能し、攻守でそれぞれの長所を活かせた。一方、山本祐大や益子京右などの若手捕手が二軍でも打撃面でつまずき、将来に不安を感じる年となった感も否めない。現在の主力捕手は３年後には全員30代中盤を迎える。その頃には次世代のキャッチャーが台頭している形にしたい。

　そこで今秋のドラフトでは、将来の正捕手候補として松尾汐恩（大阪桐蔭高）を狙うべきだろう。松尾は今夏の甲子園で打率.571、２本塁打と大活躍し、二塁送球も1.8秒台と速い上に安定している。元々ショートだったのでフットワークも備え、まさに５ツール・プレーヤーの卵。ゆくゆくは中軸を打つ選手にもなる素材でもある。
  　内野でも次世代のレギュラー候補を今のうちから育成しておきたい。現在、一軍には牧秀悟、森敬斗と今後のチームの中核を担える選手がいるが、他の主力はソト、大和、宮﨑敏郎など30代中盤の選手が多い。また、全体的に右打者が少ないので、強打の右バッターを狙っていきたい。

　上記で挙げた条件に合致するのが戸井零士（天理高）だ。打撃に秀でた右打ちの遊撃手で、今年の甲子園では２試合で打率５割と結果を残した。安定したスイングで広角に打てるため、プロでも早めに順応できそうだ。守備では遊撃以外に内野全般を守れるうえに、将来は内野の一角への定着が期待できる。

　もう一人、戸井とは別に早期に一軍の打撃を強化できる内野手も必要だ。レギュラー陣に対して控え野手の打力は大きな差があり、全体の層を底上げしておきたい。そこでお勧めしたいのが中山 遥斗（三菱重工East）だ。

　中山は二塁・三塁を守れる守備と強打が売りで、ドラフト当時の宮﨑と重なる。さらに宮崎よりも肩や足は良く、早い段階から内野の強力なバックアップが期待できそうだ。場合によってはレギュラー獲りもあり得る。この野手３人を指名できれば、今年の弱点だった打撃を中長期的に強化する補強になるはずだ。

【理想の指名】
１位：松尾汐恩（捕手／大阪桐蔭高）
３位：戸井零士（遊撃手／天理高）
４位：中山遥斗（内野手／三菱重工East）

文●ハマノンタン

【著者プロフィール】 
横浜生まれ横浜育ちのベイスターズファン。前向きな応援と冷静な分析が信条。ブログ「データで語るドラフト・育成論」を運営。