10月20日に行なわれるプロ野球ドラフト会議。各チームの育成状況や弱点を踏まえた上で、「誰を指名するか」ではなく「誰を指名するべきか」という観点からドラフトを展望する。
【表】広島 ポジション別年齢分布
【指名方針】
バランス重視
【補強ポイント】
・将来のエース候補
・右打ちの強打者タイプ
10月13日のスカウト会議後に、斉藤優汰(苫小牧中央高)の1位指名を公言。近年のカープの主力投手は大学生、社会人出身者が中心で、若手のエース候補が少ないだけにこの指名は理解できる。体格的なスケールも十分で、しっかり鍛えれば3年目あたりに一軍定着も期待できそうだ。
もうひとつ、白武佳久スカウト部長が補強ポイントとして挙げていたのが右の強打者。昨年のドラフトでも3位で中村健人、6位で末包昇大を指名したが、鈴木誠也の抜けた穴を埋めるには至らなかった。この2人が今後成長することも当然考えられるが、依然として主力に左打者が多い点を考えても、右の強打者を狙うのは理解できる。
そこで、2位でもし残っていれば中央大のセンター、森下翔太を狙いたい。まだ粗削りな部分はあるものの、1年春に選ばれた大学日本代表候補合宿でもトップのスイングスピードをマークしているように、強く振る力に関しては今年の候補者でも一、二を争うレベルにある。脚力と肩の強さも水準以上で、何よりもカープの選手らしい体の強さが感じられるのが魅力だ。
森下が残っていなければ、萩尾匡也(慶応大)も面白い。遠くへ飛ばす力は大学球界全体でも上位で、逆方向へも長打を打てる。外野の守備は少し不安が残るが、脚力があるのもカープ好みの選手と言えるだろう。
世代別の選手構成を見ると、高校生でも1人は右の強打者タイプを指名しておきたい。そこで、3位で残っていればぜひ狙いたいのが内田湘大(利根商高)だ。たくましい体格と、フォローの大きい豪快なスイングは高校生離れしたものがある。
パワーはもちろんだが、スイングに柔らかさがあるのも魅力だ。投手としても最速149キロをマークしているように肩の強さも申し分ない。高校ではリリーフとして登板することが多く、その負担からファーストを守っていたが、フットワークも軽快なだけに、三塁で育てることを考えたい。
1位で斉藤を獲得できたとしても、将来性のある投手はもう1人狙いたい。そこで、4位指名で推したいのが大型左腕の森山暁生(阿南光高)である。
長身でまだ躍動感などは物足りないが、フォームに悪い癖がなく、サウスポーらしいボールの角度があるのが持ち味。他に安定した投手がおらず、公式戦は1人で投げ切ることが多かっただけに、しっかり休養を挟みながら投げればまだまだ速くなる可能性はある。将来、斉藤と左右の両輪を形成することを期待してぜひ獲得を検討したい投手だ。
【理想の指名】
1位:斉藤優汰(投手/苫小牧中央)
2位:森下翔太(外野手/中央大)もしくは萩尾匡也(外野手/慶応大)
3位:内田湘大(一塁手/利根商高)
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
【表】広島 ポジション別年齢分布
【指名方針】
バランス重視
【補強ポイント】
・将来のエース候補
・右打ちの強打者タイプ
10月13日のスカウト会議後に、斉藤優汰(苫小牧中央高)の1位指名を公言。近年のカープの主力投手は大学生、社会人出身者が中心で、若手のエース候補が少ないだけにこの指名は理解できる。体格的なスケールも十分で、しっかり鍛えれば3年目あたりに一軍定着も期待できそうだ。
もうひとつ、白武佳久スカウト部長が補強ポイントとして挙げていたのが右の強打者。昨年のドラフトでも3位で中村健人、6位で末包昇大を指名したが、鈴木誠也の抜けた穴を埋めるには至らなかった。この2人が今後成長することも当然考えられるが、依然として主力に左打者が多い点を考えても、右の強打者を狙うのは理解できる。
そこで、2位でもし残っていれば中央大のセンター、森下翔太を狙いたい。まだ粗削りな部分はあるものの、1年春に選ばれた大学日本代表候補合宿でもトップのスイングスピードをマークしているように、強く振る力に関しては今年の候補者でも一、二を争うレベルにある。脚力と肩の強さも水準以上で、何よりもカープの選手らしい体の強さが感じられるのが魅力だ。
森下が残っていなければ、萩尾匡也(慶応大)も面白い。遠くへ飛ばす力は大学球界全体でも上位で、逆方向へも長打を打てる。外野の守備は少し不安が残るが、脚力があるのもカープ好みの選手と言えるだろう。
世代別の選手構成を見ると、高校生でも1人は右の強打者タイプを指名しておきたい。そこで、3位で残っていればぜひ狙いたいのが内田湘大(利根商高)だ。たくましい体格と、フォローの大きい豪快なスイングは高校生離れしたものがある。
パワーはもちろんだが、スイングに柔らかさがあるのも魅力だ。投手としても最速149キロをマークしているように肩の強さも申し分ない。高校ではリリーフとして登板することが多く、その負担からファーストを守っていたが、フットワークも軽快なだけに、三塁で育てることを考えたい。
1位で斉藤を獲得できたとしても、将来性のある投手はもう1人狙いたい。そこで、4位指名で推したいのが大型左腕の森山暁生(阿南光高)である。
長身でまだ躍動感などは物足りないが、フォームに悪い癖がなく、サウスポーらしいボールの角度があるのが持ち味。他に安定した投手がおらず、公式戦は1人で投げ切ることが多かっただけに、しっかり休養を挟みながら投げればまだまだ速くなる可能性はある。将来、斉藤と左右の両輪を形成することを期待してぜひ獲得を検討したい投手だ。
【理想の指名】
1位:斉藤優汰(投手/苫小牧中央)
2位:森下翔太(外野手/中央大)もしくは萩尾匡也(外野手/慶応大)
3位:内田湘大(一塁手/利根商高)
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
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