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MLB

“投高打低時代”に異彩を放ったジャッジのハンク・アーロン賞は当然。それでも絶えなかった大谷翔平派の声は何を表すのか

THE DIGEST編集部

2022.11.10

ジャッジ(左)と大谷(右)。MVP争いでも注目される両雄が絡んだタイトルの発表が話題となっている。(C)Getty Images

ジャッジ(左)と大谷(右)。MVP争いでも注目される両雄が絡んだタイトルの発表が話題となっている。(C)Getty Images

 現地時間11月9日、メジャーリーグ機構は、2022シーズンのハンク・アーロン賞の受賞者を発表。昨シーズンに大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)が受賞して話題となったアメリカン・リーグではアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)が選ばれた。

 今季の同賞には大谷に加え、出場119試合で40本塁打を放ったマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)、さらに37本塁打を打ってチームの世界一に貢献したヨーダンです・アルバレス(ヒューストン・アストロズ)も最終候補にノミネート。ゆえにファン投票は割れるという見方も少なくはなかった。

 しかし、最終的にはジャッジが受賞を果たした。もっとも、今年に関しては彼が栄誉を授かるのが「ふさわしい」と断言できる。MLB通算755本塁打を放った往年の大打者ハンク・アーロンの名を冠にした同賞は、その年に最も活躍した打者を評するものであり、打撃二冠を達成した30歳の怪物スラッガーは両リーグで比較しても図抜けていたからだ。

 あらためて、ジャッジのスタッツは驚くべきものばかりだ。ア・リーグ記録を61年ぶりに塗り替える62本塁打を放っただけでなく、最終盤まで首位打者争いを演じた打率は.311。加えて131打点、OPS1.111というハイアベレージをマーク。さらに長打率から打率を引いたスタッツで、打者の純然たるパワーを示す「ISO」は.375を記録。.250以上で非常に優秀とされる同指標だけに脱帽するしかない。

 また、今季から「飛ばないボール」が導入されたメジャーリーグでは投高打低が加速。平均打率.243と1900年以降で歴代ワースト4位に低下し、2019年に6776本塁打を記録した総本塁打数も5215本と1561本も減少した。そうした打者にとっては“逆風”が吹いている状況をものともしなかったジャッジは、ハンク・アーロン賞をやはり手にするべきであった。
 
 無論、投手として15勝、奪三振率11.87という驚異的な数字を残しながら、34本塁打、OPS.875という異次元というべき活躍を見せた大谷の受賞を惜しむ声も少なからずある。

 米メディア『Halos Today』は、「オオタニは8人のファイナリストの中にはいた。しかし、最終的にタイトルを持ち帰ったのはヤンキースのジャッジだ。もちろん投票者を責めることはできない」と強調。そのうえで、「オオタニ、そしてトラウトは間違いなく良いシーズンを過ごしていた」と論じた。ジャッジ派が圧倒的だった同賞においても、こうした声が噴出するのは、二刀流戦士の凄みを物語っていると言っていいだろう。

 ここまでは大方の予想通りに、老舗米メディアが選出したMVPなど“個人タイトル”を総なめにしている感があるジャッジ。はたして、現地時間11月17日に発表されるア・リーグMVPも彼が手にするのか。その瞬間を興味深く見守りたい。

構成●THE DIGEST編集部

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