“究極のMVPレース”がついに決着した。
現地時間11月17日、ア・リーグMVP投票の結果が発表され、アーロン・ジャッジ(ヤンキース)が1位30票のうち28票を集めて初の栄冠を手にした。昨季に満場一致で受賞していた大谷翔平(エンジェルス)は1位票2票で2位に終わった。
MVP投票の前哨戦とも言える『Sporting News』、そしてMLB選手会選出の年間最優秀選手賞をそれぞれジャッジが勝利していたことを考えれば、順当な結果だったとも言える。
ただ、1位票で大きな差がついたことは個人的に少し意外だった。大谷に1位票を投じたのは2人はいずれも全米野球記者協会(BBWAA)ロサンゼルス支部所属。つまり大谷を支持したのは地元記者だけで、限りなく満票に近い決着だったとも言える。
ここで改めてジャッジの今シーズンを振り返っておこう。157試合に出場し、ロジャー・マリスのア・リーグ記録を更新する62本塁打。加えて131打点、出塁率.425、長打率.686、そしてOPS1.111もリーグ1位、総合的な勝利貢献度を示すWARも、Baseba-Reference版が10.6、FanGraphs版が11.4でどちらもMLBダントツの数字だった。
「ストーリー性」も抜群だった。公式球変更の影響もあり、MLB全体で本塁打が激減する中、一人で快打を連発。過去にマリスの記録を追い抜いたマーク・マグワイア、サミー・ソーサ、バリー・ボンズがいずれも薬物を使っていたか、あるいはその疑いが限りなく濃い選手だったことから、「62号」を「クリーンな選手による事実上のMLB記録」と見なすファンや関係者も少なくなかった。
注目度も常に高かった。ヤンキース戦は『ESPN』や『FOX Sports』の全米中継で放映されることが多く、ジャッジは文字通り「全米が見守る」なかでホームランを積み上げていった。9月下旬以降は、ヤンキースを応援しているかどうかを問わず、まずジャッジの打席結果をチェックするのが日課になっていたファンも多かったはずだ。
もっとも、歴史的なパースペクティブで捉えた時の「凄さ」という点では、大谷もジャッジに引けを取らない。よく言われれるように、「二刀流の完成度」という観点からすれば、満票でMVPを受賞した昨季以上だったと言える。
投げては15勝を挙げて防御率2.33がリーグ4位、奪三振率11.87は堂々1位。そして、昨季ほどではなかったとはいえ、打ってもリーグ4位の34本塁打、6位のOPS.875と堂々の働きだった。
極めつきは、規定打席&規定投球回の「Wクリア」だ。投打で一定のレベルを保ち、なおかつ故障耐性が強くなければ達成できない。それを、前述したように投打両方でリーグ屈指の成績を残しながら達成してみせたのだから、驚愕以外の何物でもない。「ジャッジの本塁打記録を追い抜く選手は遠くない将来出てくる可能性はあるが、W規定クリアは未来永劫、達成不可能なのではないか」と考えるファンがいるのも十分理解できる。
そう考えると、最終的に勝敗を大きく分けたのはチームの成功だった、と言えなくもない。ヤンキースが地区優勝した一方で、エンジェルスは前半戦で事実上の終戦。このことは、MVP投票に少なからぬ影響を与えただろう。そして、それは必ずしも間違ってはいない、と僕は思う。
現地時間11月17日、ア・リーグMVP投票の結果が発表され、アーロン・ジャッジ(ヤンキース)が1位30票のうち28票を集めて初の栄冠を手にした。昨季に満場一致で受賞していた大谷翔平(エンジェルス)は1位票2票で2位に終わった。
MVP投票の前哨戦とも言える『Sporting News』、そしてMLB選手会選出の年間最優秀選手賞をそれぞれジャッジが勝利していたことを考えれば、順当な結果だったとも言える。
ただ、1位票で大きな差がついたことは個人的に少し意外だった。大谷に1位票を投じたのは2人はいずれも全米野球記者協会(BBWAA)ロサンゼルス支部所属。つまり大谷を支持したのは地元記者だけで、限りなく満票に近い決着だったとも言える。
ここで改めてジャッジの今シーズンを振り返っておこう。157試合に出場し、ロジャー・マリスのア・リーグ記録を更新する62本塁打。加えて131打点、出塁率.425、長打率.686、そしてOPS1.111もリーグ1位、総合的な勝利貢献度を示すWARも、Baseba-Reference版が10.6、FanGraphs版が11.4でどちらもMLBダントツの数字だった。
「ストーリー性」も抜群だった。公式球変更の影響もあり、MLB全体で本塁打が激減する中、一人で快打を連発。過去にマリスの記録を追い抜いたマーク・マグワイア、サミー・ソーサ、バリー・ボンズがいずれも薬物を使っていたか、あるいはその疑いが限りなく濃い選手だったことから、「62号」を「クリーンな選手による事実上のMLB記録」と見なすファンや関係者も少なくなかった。
注目度も常に高かった。ヤンキース戦は『ESPN』や『FOX Sports』の全米中継で放映されることが多く、ジャッジは文字通り「全米が見守る」なかでホームランを積み上げていった。9月下旬以降は、ヤンキースを応援しているかどうかを問わず、まずジャッジの打席結果をチェックするのが日課になっていたファンも多かったはずだ。
もっとも、歴史的なパースペクティブで捉えた時の「凄さ」という点では、大谷もジャッジに引けを取らない。よく言われれるように、「二刀流の完成度」という観点からすれば、満票でMVPを受賞した昨季以上だったと言える。
投げては15勝を挙げて防御率2.33がリーグ4位、奪三振率11.87は堂々1位。そして、昨季ほどではなかったとはいえ、打ってもリーグ4位の34本塁打、6位のOPS.875と堂々の働きだった。
極めつきは、規定打席&規定投球回の「Wクリア」だ。投打で一定のレベルを保ち、なおかつ故障耐性が強くなければ達成できない。それを、前述したように投打両方でリーグ屈指の成績を残しながら達成してみせたのだから、驚愕以外の何物でもない。「ジャッジの本塁打記録を追い抜く選手は遠くない将来出てくる可能性はあるが、W規定クリアは未来永劫、達成不可能なのではないか」と考えるファンがいるのも十分理解できる。
そう考えると、最終的に勝敗を大きく分けたのはチームの成功だった、と言えなくもない。ヤンキースが地区優勝した一方で、エンジェルスは前半戦で事実上の終戦。このことは、MVP投票に少なからぬ影響を与えただろう。そして、それは必ずしも間違ってはいない、と僕は思う。