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名だたるエースをことごとく“血祭り”に。中日期待の新助っ人アキーノが持つ「メジャー通算41発」の凄み<SLUGGER>

筒居一孝(SLUGGER編集部)

2022.11.29

規格外の飛距離とエースキラーぶりで、レッズ時代は“パニッシャー”の異名もとったアキーノ。セ・リーグの投手たちにも恐怖をもたらす存在になるかも……。(C)Getty Images

規格外の飛距離とエースキラーぶりで、レッズ時代は“パニッシャー”の異名もとったアキーノ。セ・リーグの投手たちにも恐怖をもたらす存在になるかも……。(C)Getty Images

 11月28日に中日との契約が明らかになったアリステディス・アキーノ。「メジャー通算41本塁打」の実績から、深刻なパワー欠乏症に悩むチームの救世主的存在になるとの期待が高まっている。だが、この「通算41発」を詳しく調べてみるとさらに凄さが分かってきた。なにせこの新助っ人がこれまで餌食にしてきたのは、メジャー屈指の好投手ばかりなのだ。

 アキーノのメジャー第1号は、2019年8月3日(現地)ブレーブス戦の7回に飛び出した。マウンドにいたのは、15年のサイ・ヤング賞投手ダラス・カイケル。剛球自慢の多いMLBにあっては珍しく、ツーシームやチェンジアップでゴロの山を築く技巧派左腕からは、そもそもフライを打つのが至難の業のはずだった。

 だがアキーノは、外角いっぱいのチェンジアップを思いっきり引っ張ると、打球は鮮やかな放物線を描いてレフトスタンドへ。ここから、彼のの“エースキラー”伝説が幕を開ける。

 その5日後のカブス戦。今度の相手はこの時点でメジャー通算162勝を挙げ、ワールドシリーズMVPに輝いたこともあるコール・ハメルズだ。この時は、低めのチェンジアップを思いきりかち上げ、本拠地グレートアメリカン・ボールパークの2階席にドスン。その翌日の同カードでは、今度はダルビッシュ有(現パドレス)が餌食になった。真ん中に入ったカッターを逆方向へ飛ばした打球は、長い滞空時間の後でスタンドへ落ちた。
 
 だが、アキーノの快進撃はこれで終わらなかった。

 10日の第3戦では、メジャー屈指の制球力を誇る16年の最優秀防御率投手カイル・ヘンドリクスを打ち崩す。2回にアキーノはインハイのボール球を叩いてポール際に放り込む。さらに、3回に回ってきた第2打席では真ん中のシンカーを完璧に捉え、2打席連続弾を放り込んだのだ。なお、4回の第3打席目にも別の投手から一発を放ち、新人では史上初の3イニング連続弾を達成した。

 16~17日のカーディナルス戦でも、アダム・ウェインライトとマイルズ・マイコラスのダブルエースから一発ずつ。また、9月にもダルビッシュから再び本塁打を放ち、たった2か月で次々とエースを攻略したのである。

 不安定な打撃もあって、アキーノはその後もメジャーとマイナーと行ったり来たりするキャリアが続いたが、“エースキラー”としての凄みだけは持ち続けていた。今季も常勝ドジャースのエース、ウォーカー・ビューラーからシーズン初本塁打を放ち、9月にはマイコラスを3年ぶりに餌食にした。

 メジャー通算打率.211、通算三振率は33.5%と、打撃は「粗い」の一言に尽きるアキーノ。だが、メジャーのエース級からこれだけ本塁打を放っている事実は見逃せない。NPBにおいても“エースキラー”ぶりを発揮できれば、中日打線に勢いをもたらす存在になれるだろう。

文●筒居一孝(SLUGGER編集部)

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