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プロ野球

女手一つで育ててくれた母への恩返しを! オリックス本田仁海が掲げる“活躍の絶対条件”「僕には決め球がない」

THE DIGEST編集部

2023.02.10

フル回転で活躍したブルペンスタッフの一角を担った本田。その経験は今季に活きている。写真:Rinco

フル回転で活躍したブルペンスタッフの一角を担った本田。その経験は今季に活きている。写真:Rinco

 昨季のオリックスはとにかく中継ぎ陣が踏ん張っていた。彼らの活躍なくして日本一はおろかリーグ連覇もなかっただろう。

 文字通りのフル回転をしていたブルペン陣の中で、今季にブレイクが期待される右腕がいる。最速158キロのストレートを武器に、昨季にプロ初勝利・初ホールド・初セーブをマークした本田仁海だ。

 星槎国際湘南高から2017年ドラフト4位で入団した本田は、桐蔭高監督時代に幾多もの名選手を育てた土屋恵三郎監督の教え子の一人だ。しかし、高校から直接プロ入りしたのは、本田だけである。これは女手一つ自身を育て上げてくれた母のもえみさんを「早く楽にさせてあげたい」という本人の気持ちを汲んだ土屋監督が「仁海なら大丈夫だろう」と後押ししたからである。初めて一軍に定着した昨年は42試合に登板して防御率3.50という成績。この活躍にもえみさんはかなり喜ばれていたそうだ。

 昨年11月に御堂筋で行なわれた優勝パレードについて、「楽しかったです」と話しながら「僕は人気ないですから」と付け加えるのが、なんともシャイな本田らしい。しかし、本人の言葉とは裏腹に、沿道には自らの愛称である「HITOMICHAN」とプリントされたユニホームを着用したファンの姿も数多く見受けられた。ファンの信頼は勝ち得ていると言っていい。

 無論、本人に安堵している余裕はない。「(2022年は)リリーフで入ったんで、とりあえず1ニング全力で投げるっていうことだけでした。それぐらいしかなかったです」とシーズンを振り返った本田は、同時に「体力が1年間持たなくて、後半になるにつれて球威とかも落ちてきたので。スタミナ面が課題かな」と語った。

 そんな本田がさらなる飛躍するべく、絶対的な決め球として磨きをかけているのが、フォークだ。
 
「僕にはこれといった決め球がない状態で、真っすぐとチェンジアップでやってきた。それでチェンジアップも後半戦に入ってから打たれ始めたりしたので、フォークでしっかりカウントも取れる決め球にしたいなと。宇田川さんみたいなフォークが欲しい」

 当の宇田川は平野佳寿の投球に影響を受けたと話していたが、本田もこれに同意する。「平野さんはほぼまっすぐとフォークで、そのフォークは決め球でも大きいし。コントロールがいいので。やっぱ落ち球系が欲しいですね。先発してた時はカーブとか必要かなと思ったんですけど、リリーフやってて思ったのは速い系の落ち球がすごい大事だなと」

 昨秋に高知で行なわれたキャンプから着々と精度を高めてきたフォークは、この春のキャンプでも、継続して磨きをかける。

 その間に宇田川がWBC日本代表に帯同するためにチームを離れるのは、本田にとってはまたとないチャンスでもある。チームにとっても、本田が計算のできる中継ぎとなってくれればそれだけ3連覇の可能性も高くなる。ゆえに絶対的な決め球としてのフォークの完成は、活躍の絶対条件でもある。

 愛らしいニックネームを持つ右腕が、雄々しく羽ばたく時が来た。

取材・文●どら増田

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