ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で侍ジャパンを14年ぶり3度目の世界一に導いた栗山英樹監督が3月27日、日本記者クラブでの記者会見に応じた。逆転サヨナラでの勝利を収めた準決勝のメキシコ戦での決断について赤裸々に語っている。
【動画】起死回生の一撃! 村上宗隆のメキシコ戦サヨナラタイムリーをプレーバック
準決勝のメキシコ戦は4-5と1点ビハインドで9回裏の攻撃を迎えた。先頭の大谷翔平が二塁打で出塁すると、続く吉田正尚は死球で一塁へ。無死一、二塁のチャンスで5番の村上宗隆を迎えた。それまで3三振を喫していた村上に対し、栗山監督はコーチを通じて「思い切りいってこい」と指示を出していたことは試合後にも語られているが、他の選択肢はなかったのか。栗山監督は、次のように語っている。
「監督は、監督として自分がやりたいことと、監督としてやらなければならないことの二方向に進んでいて、いつもそのせめぎ合い。ここは勝つために自分の想いを走らせて良い時と、ここは(自分のやりたいことを)やりたいけれども勝つための確率を上げなければいけない、というせめぎ合いがある。
もちろん、あのケースというのは1点差で勝っていて、ふたりランナーが出たら、ノーアウト一塁、二塁でムネに行ったらバントのケースも考えられたので、コーチには「バントの準備をして」と伝えていて、もちろんそういう準備もしている。
最終的にそういう準備をしながら、前のバッターの吉田正尚選手へのフォアボールの出し方とか、どういうボールでフォアボールになっているのかを見ながら、どっちが確率が高いかというのを自分が判断するんですけど、ただ一番まずいのは、その準備ができていないこと。『ああ、バントの準備させておけば……』みたいなことだけは、起こさないように。
準備がある程度できていると、その瞬間に誰が見ても確率が高いものというのは分かるんですが、あのケースはもちろんいろんな考え方がある。ただ、最終的にはそういう準備をしながら、僕は『ムネで勝負だ』と本当に思ったので」
バントを考えつつも、相手投手の出来も見ながら、最終的には村上の打棒に託した栗山監督の采配は奏功。見事に逆転サヨナラ勝利に導いた。
栗山監督はまた、「やっぱりもし、勝ち切るなら物語が必要というか、こういう形のものが出てこないと優勝しきれないという僕の中のイメージもあった」と語り、村上の爆発なしには優勝を掴み切れないとも感じていたようだ。「(バントの)準備はしていたけれど、僕はムネと心中と思った」という指揮官の決断力が歓喜を引き寄せた。
構成●THE DIGEST編集部
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もちろん、あのケースというのは1点差で勝っていて、ふたりランナーが出たら、ノーアウト一塁、二塁でムネに行ったらバントのケースも考えられたので、コーチには「バントの準備をして」と伝えていて、もちろんそういう準備もしている。
最終的にそういう準備をしながら、前のバッターの吉田正尚選手へのフォアボールの出し方とか、どういうボールでフォアボールになっているのかを見ながら、どっちが確率が高いかというのを自分が判断するんですけど、ただ一番まずいのは、その準備ができていないこと。『ああ、バントの準備させておけば……』みたいなことだけは、起こさないように。
準備がある程度できていると、その瞬間に誰が見ても確率が高いものというのは分かるんですが、あのケースはもちろんいろんな考え方がある。ただ、最終的にはそういう準備をしながら、僕は『ムネで勝負だ』と本当に思ったので」
バントを考えつつも、相手投手の出来も見ながら、最終的には村上の打棒に託した栗山監督の采配は奏功。見事に逆転サヨナラ勝利に導いた。
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