今春に6年ぶりに開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は、日本代表の14年ぶり3度目の世界制覇とともに幕を閉じた。フロリダ州マイアミで行なわれた決勝では、「野球の母国」であるアメリカ代表との大接戦を制した侍ジャパンメンバーの一挙手一投足が、球界に大きな興奮を提供した。
【WBC PHOTO】ペッパーミルフィーバーで日本をひとつに!ラーズ・ヌートバーを大特集
野球の頂点に辿り着いた侍ジャパン。「史上最強」と謳われた精鋭揃いのチームにあって欠かせなかったメンバーのひとりが、ラーズ・ヌートバー(セントルイス・カーディナルス)だろう。
日系人選手として初めて日本代表入りを果たした25歳は、大会前にあった懐疑論を吹き飛ばすように攻守で活躍。「1番・センター」で7試合連続先発という不動の地位を確立し、栗山英樹監督の信頼も厚かった。
チーム最年長のダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)が「異国の地でやるっていうのは難しいことなんですけど、そういうことを全く感じさせず、自分からこのチームに対して飛び込んでやる、という気持ちを感じる」と評したように、ヌートバーはグラウンド外でも躍動。明るいキャラクターであっという間にチームに溶け込み、ファンからも高い人気を集めた。
当然のことながらヌートバーにとっても「日本代表」でのプレーは大きな挑戦であり、彼のキャリアにとって重要な期間でもあった。ゆえに約1週間足らずの来日は、かけがえのない経験となったのである。
米誌『Sports Illustrated』の取材に応じた25歳の若武者は、「能力や結果だけで判断はしなかった」と興奮気味に振り返っている。
「野球は日本の人たちが最も大切にしているものなのだと感じたよ。WBCのある試合では、国民の48%が見ていたんだ。それでいて東京ドームでは1番から9番まで選手全員の応援歌を5万人近いファンが口ずさんでいる。それも歌詞は全員が完璧に覚えているんだよ。野球はアメリカだけじゃなく、日本でも深く根付いている」
日の丸を背負ったWBCについて「間違いなくいい経験になった」と嬉々として語ったヌートバー。彼にとって遠き島国でのプレーは、今後のキャリアを考えても良い刺激となったようだ。
構成●THE DIGEST編集部
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