開幕前の予想を裏切り、５月５日（現地）終了時点で10勝23敗とまさかのダントツ地区最下位に低迷しているカーディナルスで激震が起こった。今季から新加入した捕手のウィルソン・コントレラスを少なくとも当面の間、ＤＨ／外野手へコンバートすることが発表されたのだ。

　昨季まで７年間カブスでプレーし、球界屈指の攻撃型捕手としてオールスター出場３度の実績を誇るコントレラス。ＦＡとなった昨オフ、５年8750万ドル（約118億2500万円）という大型契約でカーディナルスに加入した。今季も、５日終了時点で31試合に出場して打率.281／出塁率.361／長打率.421と及第点の打撃成績を残していた。

　にもかかわらずコンバートとなったのは、以前から弱点とされていた守備面の問題が影響していると思われる。

　しかもコントレラスの場合、盗塁阻止率やフレーミングではそこまで悪くはないのだが、数値化しにくいリードや投手との連携に難があると見られているだけに、余計にややこしい。 　コントレラスの代わりに正捕手に昇格する予定のアンドリュー・キズナーはメジャー通算打率.201、OPS.572の専守防衛型。しかも、コントレラスがＤＨ／外野に移ることで、ただでさえ人材過多気味の外野陣が余計に混み合うことになり、ラーズ・ヌートバーやディラン・カールソンら若手の出場機会に影響を与える可能性も出てくる。さらに、コントレラスへの５年8750万ドルという大型契約は、あくまでも「強打の捕手」としての評価。ＤＨ／外野手としては逆に割に合わない。

　もちろん、カーディナルスとしてもコンバートに伴う諸々のマイナス面は承知のはず。むしろ、それほどまでにコントレラスの守備が「問題」だった、ということだろう。

　昨季まで20年近くにわたってヤディアー・モリーナが投手陣を盛り立ててきたカーディナルス。あまりにも偉大なレジェンドが抜けた穴は、想像以上に大きかったようだ。

　モリーナと話をして激励を受けたというコントレラスだが、“定位置”を取り戻すのは一体いつになるだろうか。

構成●SLUGGER編集部