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プロ野球

12球団最悪のリリーフ陣をなぜ一貫性なくつぎ込むのか?――通算17年目の原采配に見る巨人低迷の理由<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.05.21

4連勝で勝率5割に復帰したとはいえ、いまだBクラスの巨人。原監督も苦い表情が多い。写真:産経新聞社

4連勝で勝率5割に復帰したとはいえ、いまだBクラスの巨人。原監督も苦い表情が多い。写真:産経新聞社

 開幕から40試合が過ぎても依然、Bクラスに低迷する巨人。このままでは球団史上初となる「同一監督での2年連続Bクラス」という、是が非でも避けたい不名誉も現実味を帯びる。第3次政権も5年目となった原辰徳監督への風当たりも日に日に強くなりつつあるが、通算17年目の大監督の采配は妥当なのか。

 今季の巨人の低迷には投手陣の低調さが直結している。リーグ3位の153得点(数字はすべて20日現在)を稼ぎながら、172失点は断然の12球団ワーストだ。先発防御率3.75(リーグ4位)と試合を作り切れないことも大きいが、それ以上に救援防御率は12球団で唯一の5点台(5.18)と、火消しに投入したリリーフが火に薪をくべている。さらに、1試合当たりの平均リリーフ起用人数も12球団最多の3.66人。救援陣を積極的に投入しては、失点を重ねる運用が続けられていることになる。

 17日のヤクルト戦では腰痛のため昨シーズンを棒に振り、育成契約から支配下に再登録されたばかりの中川皓太が登板したが本塁打を浴びるなど3連打で2失点。かつてのリリーフエースも、まだ完全復調とはいかない様子だ。

 本来、原監督の野球は、巨人が最後に日本一に輝いた12年のスコット・マシソン、山口鉄也、西村健太朗のような勝利の方程式を確立し、各リリーフ陣の役割を明確にすることが要諦だった。それが今季は「マシンガン継投」と揶揄されるように、点差に関わらず、勝ち試合でもリードされた展開でも起用される投手に一貫性が消えている。先発投手を我慢できず、救援陣をつぎ込む采配こそ低迷の最大の要因だ。唯一、役割が固定されているのは守護神の大勢だけ。その大勢もこのところ失点する場面が目立ってきている。
 
 一刻も早いパターン確立に向け、26歳の広岡大志を放出し、オリックスから今季一軍未登板の鈴木康平をトレードで獲得したが、この鈴木もプロ通算5年で79試合に登板し、防御率4.86。救援陣立て直しの即効薬になるとは考えづらい。

 翻って攻撃陣は開幕当初の出塁すれどもあと一本が出ず……というかみ合わない展開は解消されつつある。開幕から不調だった吉川尚輝、丸佳浩、坂本勇人が復調し、1~3番に固定されたことで得点力は回復。中田翔が右太腿裏の肉離れで離脱したとはいえ、5番に大城卓三を固定し、中田の弟分でもある秋広優人が台頭。岡本和真を一塁に移し、三塁に守りの堅いルーキーの門脇誠を起用することで内野守備も安定しつつある。中田の復帰が想定よりも早く今週末と見込まれているため、打順や中田の一塁復帰に伴う守備位置など他の選手を含めた起用法には頭を悩ませそうだ。

 目下、巨人ファンが最も見たいのは秋広の打席だろう。打率.349とハイアベレージをキープする身長202cmの大器は、17日にも2号3ランを放つなど着実に成長中。懐が深く、バットコントロールにも長けており、得点圏打率は.692と驚異的な勝負強さも見せている。ただ、左投手相手には打率.167と苦戦しており、左腕の先発時にはスタメンから外されることが多くなっているが、苦手を避けることで成長の機会を奪うことにはならないのかは疑問が残る。

 整いつつある攻撃陣といまだ展望の見えない救援陣。原監督に求められるのは、昨季から手付かずのままとなっている一刻も早いリリーフ陣の再整備といえそうだ。

構成●SLUGGER編集部
 

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