ピッツバーグの英雄が新たな金字塔に到達した。

　現地６月11日、本拠地PNCパークでのメッツ戦でアンドリュー・マッカッチェン（パイレーツ）が通算2000安打を記録したのだ。

　愛妻と２人の子供が見守る中、１番・ＤＨとして初回の打席に入ったマッカッチェンは、カウント１－１からメッツ先発のカルロス・カラスコが投じた内角球を鋭くレフトに弾き返して記録達成。地元ファンからは盛大なスタンディング・オベーションが送られ、マッカッチェンも一塁ベース上でヘルメットを振りながら声援に応えた。球審のデーブ・マーゼルも試合の進行を緩め、感動の瞬間をサポートした。

　2005年にドラフト全体11位でパイレーツに入団したマッカッチェンは09年６月にメジャーデビュー。ドレッドヘアをなびかせながら走攻守に躍動し、当時低迷していたパイレーツの躍進の立役者となった。12年から４年連続でオールスター出場＆シルバースラッガー賞受賞。13年にはMVPを受賞し、14年はリーグ１位のOPS.952を記録するなど、球界屈指のスーパースターとして君臨した。 　地元ピッツバーグでの人気はすさまじく、17年オフにジャイアンツへトレードされた際はファンから球団へのボイコット運動が起きたほどだった。マッカッチェン自身、ピッツバーグへの思いは強い。17年11月、トレード直前に生まれた息子には「スティール」と名付けたが、これはピッツバーグの愛称「スティール・シティ（鉄鋼の街）」に由来する。それだけに昨オフ、６年ぶりのパイレーツ復帰が発表された際には、ピッツバーグのファンは大いに盛り上がった。

　2000安打達成について、マッカッチェンはMLB.comに「初めてメジャーに上がった頃はナイーブだったから、怪我なく長くできれば3000本打てると思っていた」と述懐。そうはいっても、2000安打も現役では他に４人しか到達委していない立派なマイルストーン。今季、パイレーツは開幕から意外な快進撃を続けているが、地元ファンから愛される英雄の大記録達成でさらに弾みがつくかもしれない。

構成●SLUGGER編集部