絶体絶命のピンチから大逆転勝利を収めた「アナハイム劇場」。ミラクルなサヨナラ劇へ導く呼び水となったのは、大谷翔平が強力クローザーから放った33号ホームランだった。

　現地７月15日、ロサンゼルス・エンジェルスは本拠地でヒューストン・アストロズと対戦。一時は６点差を付けられるも食らいついて追いつき、さらに８回と９回に突き放されて９対12とリードを広げられたが、この日の彼らは不屈の闘志で立ち向かった。

　９回裏、トップバッターに立ったのはそれまで３三振を含む４打数ノーヒットの大谷だった。マウンドに上がったのはアストロズ不動の守護神プレスリーだ。昨季のワールドチャンピオンが描く勝利の方程式に待ったをかけたのが背番号17。カウント１－１から投じられた高速スライダーをものの見事にジャストミートし、センター奥へ飛び込む33号ソロとした。

　打球速度103.5マイル（約166.63キロ）、飛距離404フィート（約123.14メートル）。この一撃を皮切りにエンジェルス打線は焦るプレスリーを攻略し、驚異の連打でふたたびスコアを12対12の振り出しに戻す。そして９回表に守護神エステベスが敵の強力打線をゼロに封じると、裏の攻撃でゲッツーから相手にエラーが出て、二塁ランナーがサヨナラのホームを踏んだ。

　劇的な勝利に欠かせない呼び水となったのが、大谷が叩き込んだ後半戦初本塁打だ。これを間近で目撃したのが、３番・レフトのテイラー・ウォードである。
  　自身もこの日、５打数３安打で猛威を振るったスラッガーは試合後のインタビューで、「ショウヘイの打球からは煙が噴き出していたよ（笑）。信じられない一発だった」と絶賛した。さらに「あそこで打つんだから、ショウヘイはやっぱり男だよ。あのホームランが勝利へのきっかけになったんだ」と持ち上げた。

　まさにハチャメチャな展開からのドラマチックな逆転劇。連敗を６で止めたエンジェルスは戦績を46勝47敗とし、もっとも気になるワイルドカードの順位を再度６位に浮上させた。進出圏内である３位（アストロズ）までは5.0ゲーム差だ。

構成●THE DIGEST編集部

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