9年ぶりのプレーオフ進出へ向けて積極補強を仕掛けるエンジェルス。7月30日(現地)には、ロッキーズから一塁手のCJ・クロン、外野手のランドール・グリチックを獲得した。
実は、2人ともプロ入りはエンジェルス。クロンは11年ドラフト全体17位、そしてグリチックは10年の全体24位指名で入団している。
グリチックにとってこの指名順位は、その後のキャリアで常について回ることになった。なぜなら、全体25位で同じくエンジェルスが指名したのがマイク・トラウトだったからだ。ポジションが違うならともかく、2人は同じ高校生の右打ち外野手。どうしたって比較は避けられない。
ちなみにドラフト当時、エンジェルスは最初からグリチックとトラウトに狙いを定めていた。2人とも甲乙つけがたい存在で、どちらを先に指名するか、エンジェルスのスカウト部長は迷いに迷ったという。
米メディア『ジ・アスレティック』によると、決め手になったのはトラウトの代理人だった。当時のスカウト部長いわく、トラウトの代理人がいろいろ難癖をつけてくるのに苛立ち、グリチックを24位、トラウトを25位で指名することに決めたのだという。
その後のトラウトの活躍ぶりは誰もが知っている通り。11年にメジャーデビューを果たし、MVPをこれまでに3度受賞。オールスター選出11回、シルバースラッガー受賞9回と、31歳にして早くも殿堂入りを確実なものとしている。
一方、マイナーではトラウトとルームメイトで仲も良く、お互いに切磋琢磨する仲だったグリチックは、エンジェルスでメジャーデビューすることはなかった。13年オフにカーディナルスへ移り、14年に初昇格。その後、ブルージェイズ、ロッキーズと渡り歩き、今回のトレードで10年ぶりの古巣復帰を果たした。
トラウトに比べれば、オールスター選出もタイトル獲得もないグリチックのキャリアは少し地味に映るかもしれない。だが、これは大谷翔平と比べれば、同世代の選手が全員物足りなく見えるのと同じ話で、比較対象があまりにも高すぎる。
トラウトには及ばないのは確かだとしても、グリチックのキャリアも見事なものだ。20本塁打以上を5度も記録し、19年には31ホーマー。メジャー通算で1000試合以上に出場し、生涯年俸は5500万ドル近い。ドラフト全体24位指名選手としては間違いなく成功の部類に入るだろう。
「メジャーでエンジェルスのユニフォームを着るまで14年もかかるとは思っていなかった。だけど、僕は今こうしてここにいる」。
『ジ・アスレティック』では、グリチックのそんなコメントも紹介されている。今回の古巣復帰は、本人にとっても感慨深いものがあるに違いない。トラウトが復帰し、グリチックと外野のパートナーを組むようなことがあれば、その時はまた感激もひとしおだろう。
実は、グリチックには唯一、トラウトに勝っているものがある。それはポストシーズンでの経験。グリチックは過去3度ポストシーズンを経験し、通算15試合でホームランも3本打っている。これに対して、トラウトはたったの3試合しかない(しかもすべて敗戦)。
もしエンジェルスが無事にポストシーズンに出場した暁には、グリチックはトラウトにドヤ顔でアドバイスを与えるのではないだろうか。
構成●SLUGGER編集部
実は、2人ともプロ入りはエンジェルス。クロンは11年ドラフト全体17位、そしてグリチックは10年の全体24位指名で入団している。
グリチックにとってこの指名順位は、その後のキャリアで常について回ることになった。なぜなら、全体25位で同じくエンジェルスが指名したのがマイク・トラウトだったからだ。ポジションが違うならともかく、2人は同じ高校生の右打ち外野手。どうしたって比較は避けられない。
ちなみにドラフト当時、エンジェルスは最初からグリチックとトラウトに狙いを定めていた。2人とも甲乙つけがたい存在で、どちらを先に指名するか、エンジェルスのスカウト部長は迷いに迷ったという。
米メディア『ジ・アスレティック』によると、決め手になったのはトラウトの代理人だった。当時のスカウト部長いわく、トラウトの代理人がいろいろ難癖をつけてくるのに苛立ち、グリチックを24位、トラウトを25位で指名することに決めたのだという。
その後のトラウトの活躍ぶりは誰もが知っている通り。11年にメジャーデビューを果たし、MVPをこれまでに3度受賞。オールスター選出11回、シルバースラッガー受賞9回と、31歳にして早くも殿堂入りを確実なものとしている。
一方、マイナーではトラウトとルームメイトで仲も良く、お互いに切磋琢磨する仲だったグリチックは、エンジェルスでメジャーデビューすることはなかった。13年オフにカーディナルスへ移り、14年に初昇格。その後、ブルージェイズ、ロッキーズと渡り歩き、今回のトレードで10年ぶりの古巣復帰を果たした。
トラウトに比べれば、オールスター選出もタイトル獲得もないグリチックのキャリアは少し地味に映るかもしれない。だが、これは大谷翔平と比べれば、同世代の選手が全員物足りなく見えるのと同じ話で、比較対象があまりにも高すぎる。
トラウトには及ばないのは確かだとしても、グリチックのキャリアも見事なものだ。20本塁打以上を5度も記録し、19年には31ホーマー。メジャー通算で1000試合以上に出場し、生涯年俸は5500万ドル近い。ドラフト全体24位指名選手としては間違いなく成功の部類に入るだろう。
「メジャーでエンジェルスのユニフォームを着るまで14年もかかるとは思っていなかった。だけど、僕は今こうしてここにいる」。
『ジ・アスレティック』では、グリチックのそんなコメントも紹介されている。今回の古巣復帰は、本人にとっても感慨深いものがあるに違いない。トラウトが復帰し、グリチックと外野のパートナーを組むようなことがあれば、その時はまた感激もひとしおだろう。
実は、グリチックには唯一、トラウトに勝っているものがある。それはポストシーズンでの経験。グリチックは過去3度ポストシーズンを経験し、通算15試合でホームランも3本打っている。これに対して、トラウトはたったの3試合しかない(しかもすべて敗戦)。
もしエンジェルスが無事にポストシーズンに出場した暁には、グリチックはトラウトにドヤ顔でアドバイスを与えるのではないだろうか。
構成●SLUGGER編集部