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高校野球

1年生ながら7イニング無失点で勝利に貢献!球持ちの長さと度胸の良さが光った鳥栖工・松延響【甲子園4日目のプロ注目選手】<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.08.10

1年生とは思えない度胸満点のピッチングで勝利を手繰り寄せた松延響。今後の成長が楽しみだ。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

1年生とは思えない度胸満点のピッチングで勝利を手繰り寄せた松延響。今後の成長が楽しみだ。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 3年生のドラフト有力候補が少なく、視察するスカウトの数も少なかった大会第4日だが、来年以降が楽しみな下級生の投手が2人登場した。

 まず1人目は鳥栖工の背番号10、松延響(1年)だ。佐賀大会ではすべてリリーフで4試合に登板し、14イニングを投げて1失点と見事な投球を見せ、優勝を決めるマウンドにも立っている。この日の富山商戦も、1対1で迎えた6回から2番手として登板。試合はそのまま延長12回(10回からタイブレーク)にもつれ込む大熱戦となったが、7イニングを投げて自責点0、5奪三振の好投でチームの勝利に大きく貢献した。

 177㎝、73㎏と身体はそれほど大きいわけではないが、ゆったりとしたモーションから投げ込むストレートは度々140キロを超え、この日は自己最速となる144キロもマーク。あまりヒジを使わないフォームに特徴があり、またリリースの位置が低く、球持ちも長いため打者の手元で浮き上がるような球筋が光った。変化球はまだそれほど目立つようなボールはないが、このストレートに富山商の打者は振り遅れて差し込まれるシーンが多かった。

 さらに素晴らしかったのが、タイブレークとなった延長10回以降のピッチングだ。11回に兄でもある捕手の松延晶音(3年)のパスボールで1点は失ったものの、常にピンチの場面でも許したヒットはわずか1本に抑え込んでいる。初めての大舞台、しかも緊迫した場面の連続でこれだけの投球ができるというのは末恐ろしい限りだ。1年生だけに過剰な期待は禁物だが、次の試合でもそのピッチングに注目してもらいたい。
 もう1人は立命館宇治で背番号1を背負う十川奨己(2年)だ。何より魅力なのは195㎝という長身。体重は87㎏と上背の割には少ないが、マウンドでの立ち姿はそこまで細くは見えない。そしてこれだけの長身でありながら、長い手足を器用に使いこなせるというのが大きな長所である。京都大会でも準決勝でセンバツ出場の龍谷大平安を相手に完封勝利を挙げ、一躍注目を集める存在となった。

 ストレートは130キロ台中盤が多く、この日の最速は139キロ。近年高速化が進む中では目立たない数字ではあるものの、これだけの長身と長いリーチがあるため、マウンドからキャッチャーまでの距離も短く見える。打者もそれを感じているようで、ストレートで奪った空振りも多かった。

 結果は立ち上がりから神村学園打線につかまり、6.0回を投げて被安打13、6失点(自責点6)で負け投手となったが、イニングを上回る7個の三振を奪い、与えた四球もわずかに1個とポテンシャルの高さは十分に感じられた。秋以降、この悔しさをバネに、さらにスケールアップした姿を見せてくれることを期待したい。

●SLUGGER編集部

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