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「冬を支配するユニコーン」大谷翔平がFA市場に与える影響の大きさを米敏腕記者が解説「オオタニの引力は計り知れない」

THE DIGEST編集部

2023.11.15

米メディアは連日のように大谷の去就について記事を出している。(C)Getty Images

 米放送局『ESPN』のジェフ・パッサン記者は11月14日、2023ー24年オフシーズンの展望する記事を配信。トップ項目で大谷翔平を取り上げ、FA市場における大谷の影響力の大きさを説明した。

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 まずパッサン記者は冒頭で、移籍市場全体の状況を説明した。「MLBのFAシーズンが始まってから12日。まだひとりも新しいチームと契約していない。ストーブリーグはさまざまな要因で冷え切っている。選手は市場価値を下回る契約に乗り気ではなく、早いタイミングでのサインを控えている。各球団はトレードでの対応を検討している。球団によっては、フアン・ソト、ザック・ウィーラー、ピート・アロンゾ、マックス・フリードらが市場を賑わせる来年オフを見据え、大きな動きを控えるか比較的安価なFAクラスを狙っている」

 そう記したパッサン記者は、大谷の話を始めていく。「そして5億ドル(大谷)の存在がある。オオタニとの契約を狙うすべての金満球団は、他の一流FA選手との交渉をまったく進めずに、オオタニからの返事を待つことはないだろう。オオタニが各球団に投げかける"不安"は本物だ」。大谷を本気で狙いながらも、獲得できなかった球団はプランBへの変更を余儀なくされる。パッサン記者はこの状況を「冬を支配するユニコーン」と表現した。「それゆえ、オオタニはこの冬の注目選手トップに挙げられている」

 大谷はロサンゼルス・エンジェルスからのクオリファイング・オファー(MLB上位125選手の平均年俸額による1年契約)を拒否した。それでもこれは既定路線だった。これからは大谷の獲得を狙う球団(エンジェルスを含む)が横一線となり、歴史的な争奪戦が展開される。

「オオタニはこの冬、エンジェルス時代のチームメイト、マイク・トラウトが保持している契約金保証額の北米スポーツ記録、4億2650万ドルを打ち破ろうとしている。そしてMVPの選手――今年は二刀流が受賞するはずだ――が、受賞後すぐにFAで所属チームを離れるのは、1992年にバリー・ボンズがピッツバーグ・パイレーツからサンフランシスコ・ジャイアンツに移籍したのが最後だ」

 パッサン記者は、大谷を巡る現状を整理していった。「知っておかなければいけないのは、オオタニがどこかと契約するまで、その詳細を知るのはまず不可能ということだ。情報筋によるとオオタニは比較的早めに、おそらく12月4日~7日のウインターミーティングの前にも、移籍を決める可能性があるという。これは特段、驚くことではない」とタイミングについて言及した。
 
 続けて球団名も記していった。「オオタニは過去に、特定のチームや都市に好意を示したことがある。ロサンゼルス・ドジャースの勝ち方、選手育成能力、そして進歩的なコーチングアプローチに深い敬意を示した。テキサス・レンジャーズも高く評価している。2023年のワールドシリーズの勝利だけでなく、オオタニが日本でプレーしていた時から関心を寄せてくれたことに感謝している。そしてボストンを訪れることが好きで、(ボストン・レッドソックスの本拠地)フェンウェイ・パークを気に入っている」

「聞くところによると、ドジャース、レンジャーズ、レッドソックスのすべてが、オオタニの争奪レースに参加するようだ。現状、ドジャースへの移籍が有力と言われているが、しかしそれは推測にすぎない。ドジャースには経済的、地理的、フィールド上での成功という利点があり、大型契約を結んだ実績もある。しかしオオタニは右肘を手術して24年に登板できないし、将来についても当然のように疑問が生じている。何より5億ドルを支払うオペレーションは、ドジャースの流儀に反する」と、ドジャース有力説に疑問を呈した。

「もちろんオオタニは二刀流のスーパースターで、球団の従来の考えを打破する存在かもしれない。シカゴ・カブスは1億8400万ドル以上をひとりの選手に費やしたことはないが、オオタニは例外だ。ジャイアンツのこれまでの最高額は1億6700万ドルだったが、オオタニを迎えるには、その3倍を用意しないといけないかもしれない(実現はしなかったが、昨冬にアーロン・ジャッジとカルロス・コレアに3億ドル以上を投資する準備があった)。トロント・ブルージェイズは、この冬に『何か大きなことを成し遂げたい』のだという。25年オフにボー・ビシェットとブラディミール・ゲレーロJr.がFAになる予定だからだ」

「結局のところ、最終的にオオタニが何を優先するのかで決まるのだろう。それが待遇面ならニューヨーク・メッツのオーナー、スティーブ・コーエン以上に潤沢な予算を持っている球団はないし、日本つながりでいえば、イチロー・スズキのシアトル・マリナーズがそうだ(マリナーズが巨額を用意する考えは現時点でないが)。そして快適性を求めるなら、過去6年、全権を与えてくれたエンジェルスに戻ればいいだけだ」

 こう伝えたパッサン記者は、大谷の付加価値にも触れている。「オオタニの引力は計り知れない。どの球団と契約しても、フランチャイズを大きく変えてしまうだろう。より多くのチケットを売りたい球団にとって、オオタニの存在は他の選手にはないほど魅力に溢れるものだ」と伝えると、最後に「怪我があっても、記録的な数字を要するとしても、それがオオタニだ。あとは彼が何を望むのか。それはもう少しで明らかになる」と記した。

市場に特大の影響力を及ぼす大谷は、はたしてどのような決断を下すのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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