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プロ野球

高い制球力が光る大学生左腕に社会人No.1強打者、来年27歳のオールドルーキー...最も「即戦力度」が高いルーキーは誰?<SLUGGER>

西尾典文

2023.11.24

左から西舘勇、武内、渡会。プロ1年目から主力として活躍が期待される。写真:THE DIGEST写真部

左から西舘勇、武内、渡会。プロ1年目から主力として活躍が期待される。写真:THE DIGEST写真部

 年々プロのレベルが上がっていることもあり、1年目からいきなり主力として活躍できるルーキーはなかなかいない。それでも、早くから一軍の戦力となる選手は確実に存在している。1年目から最も即戦力として期待できそうな上位指名選手を5人、さらに下位指名ながら一気に浮上してきそうな選手を3人ピックアップして紹介しよう。

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▼武内夏暉(国学院大→西武1位)

 ソフトバンク、ヤクルトの競合を制して西武が1位で指名した武内。185㎝の長身で最速153キロという数字が紹介されることが多いが、それ以上に目立つのがコーナーに投げ分ける高い制球力だ。左投手でありながら右打者だけでなく左打者にも内角の厳しいコースに腕を振って速いボールを投げることができ、高低をミスすることも少ない。変化球も縦のスライダー、ツーシームと対になる落ちるボールを操り、試合を作る能力の高さは他のドラフト1位投手と比べても一歩リードしている印象を受ける。安定した左の先発が隅田知一郎しかいないというチーム事情も追い風となり、コンディションさえ問題なければ最低でも5勝以上は期待できるだろう。

▼西舘勇陽(中央大→巨人1位)

 武内に続く存在となりそうなのが西舘勇だ。4年春まではスピードはありながらもなかなか投球が安定しないという印象が強かったが、最後のシーズンで見違えるように変化球の精度が高くなり、あらゆる面で抜群の成績を残した。走者がいなくてもクイックで投げるスタイルで、初めて対戦する打者はタイミングをとるのが難しい。また3年秋から3シーズン続けてフル回転で稼働してきたタフさも魅力だ。1年目から先発ローテーション争いに加わる可能性も高い。
▼森田駿哉(Honda鈴鹿→巨人2位)

 多くのドラフト1位投手を差し置いて選んだのが、意外な2位指名で話題を呼んだ森田だ。法政大では故障に苦しみ、社会人でも入社直後はなかなか調子が上がらなかったが、無駄な動きをなくすフォームに変更したことで才能が一気に開花。過去2年間はレベルの高い東海地区の社会人でもたびたび圧倒的な投球を見せ、トヨタ自動車の補強選手として出場した今年の都市対抗でも2勝をマークしてチームの優勝に大きく貢献した。来年で27歳という年齢を考えても1年目から勝負のシーズンとなりそうだ。

▼度会隆輝(ENEOS→DeNA1位)

 一方の野手でまず名前が挙がるのがやはり3球団が競合した度会隆輝(ENEOS→DeNA1位)である。今年の都市対抗こそ厳しいマークもあって目立った成績を残すことはできなかったが、レベルの高い社会人で早くから対応してきた打撃センスには太鼓判が押せる。高校時代は目立たなかった走塁への意識も明らかに高くなった。ENEOSではチーム事情から外野を守っていたが、元々は内野手であり、ドラフト会議直前に行われたDeNA一軍とのプロ・アマ交流戦でもサードで安定したプレーを見せていた。社会人の3年間で試合に出続けてきた体力面もプラス要因で、世代交代を進めたいチーム事情も度会抜擢の後押しとなるだろう。

▼進藤勇也(上武大→日本ハム2位)

 野手でもう一人推したいのが捕手の進藤だ。素早く動いて速いボールを投げられるスローイングはプロに入っても間違いなくトップレベルの迫力を誇る。安定したキャッチングとブロッキング、大学日本代表で多くの好投手のボールを受けてきた経験も大きな魅力だ。バッティングに関しては高いレベルの投手への対応は少し不安が残るものの、軽々とスタンドへ運ぶパンチ力も備えている。1年目からいきなり正捕手争いに加わることを期待したい。
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