下位指名では、高島泰都（王子→オリックス５位）、又木鉄平（日本生命→巨人５位）、古田島成龍（日本通運→オリックス６位）、糸川亮太（ENEOS→西武７位）らが強豪の社会人チームで活躍していただけあって、即戦力としての期待も高い。

　彼ら以外で、チーム事情なども考えて浮上してきそうな候補を３人挙げてみた。
▼沢柳亮太郎（ロキテクノ富山→ソフトバンク５位）
▼土生翔太（茨城アストロプラネッツ→中日５位）
▼福島圭音（白鴎大→阪神育成２位）

　沢柳は新興チームであるロキテクノ富山でも主にリリーフとして短いイニングの登板が多かったため、ドラフト前の報道は非常に少なかったが、150キロ前後のストレートにカーブ、カットボール、フォークと複数の変化球を巧みに操る投球は安定感抜群。昨年行われたＵ－23Ｗ杯でも見事なピッチングを見せている。モイネロ、大津亮介などが先発に回る可能性が高く、リリーフ陣が手薄となるだけに１年目からチャンスはありそうだ。 　土生もリリーフタイプの本格派右腕。大学時代や独立リーグでの今シーズン前半までは力任せの投球が目立ったが、夏場以降は力みなく速いボールを投げられるようになり、一気に安定感がアップした。フォークの精度が上がれば、今年の松山晋也のように一気に一軍のブルペン陣に加わることも期待できる。

　福島は育成まで残っていたことが不思議な総合力の高い外野手。今年春は９試合で20盗塁というリーグ記録を樹立したことで話題となったように、抜群のスピードが武器で、パンチ力のある打撃と強肩も兼ね備える。阪神は近本光司が怪我で離脱した際にセンターを守れる選手の少なさを露呈しただけに、育成枠から一気に外野のバックアップ要員になる可能性もあるだろう。

　先述した松山晋也以外にも、今季は門脇誠（巨人）や茶野篤政（オリックス）ら下位指名のルーキーが前評判を覆して一気に一軍の戦力として活躍した。来シーズンも、今回紹介した中から彼らのように一気に飛躍する選手が出てくることを期待したい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所（PABBlab）」でも多くの選手やデータを発信している。

真の逸材を多く指名できた球団はどこ？ 「ドラフト候補ランキング」で振り返る2023年ドラフト＜SLUGGER＞

【2023ドラフト候補ランキング最終版｜１～10位】東洋大・細野、青山学院大・常広、国学院大・武内...１位は果たして＜SLUGGER＞