プロ野球

【西武】“エース候補”隅田知一郎の決意「髙橋光成さんが180~200イニングくらい投げると思うんですけど、僕もそれくらい投げられるように」

氏原英明

2024.02.20

侍ジャパンにも選ばれた隅田。今シーズンの飛躍が期待される。写真:鈴木颯太朗

 もはや12球団屈指といっても言い過ぎではない。

 髙橋光成、今井達也、平良海馬の3本柱を軸に構成された西武先発陣は他に類を見ないレベルの高さを誇っている。

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「先発陣はみんな取り組みが違うんで、一人ひとり芯があるっていうか。すごいんですよ。自分もそういうふうにならなければっていう意識はないですけど、みんなが違うことやってるんで、その中にいたら自分も自然とそうなりますよね。僕も人と同じことはやらないので」

 そう語るのはそんな先発陣の一角を任され、昨秋に続いて侍ジャパン入りを果たした隅田知一郎である。この春季キャンプでは先発陣の中でももっとも評価を上げている。

「まぁ、順調ではありますけど、去年のキャンプと同じように、その日やるべきことをしっかりやれているっていう感じですかね。自信ですか。特に変わったことはないです。与えられたメニューをしっかりできているなって思います」

 隅田の取材には独特な間がある。いつも即答はせず無言の時間があり、気がつくと会話の主導権を握られている。そんな印象だ。

 キャンプ中に隅田を待ったが、練習後のぶら下がり取材、待ち侘びたライオンズファンのサイン全てに応じた隅田はウェイトルームまでの道中に取材を始めると「そうっすかね」といった後、こちら側の質問を否定してみせた。
 
 嫌味な印象はない。隅田独特の空気があり、どんどんそこに引きこまれていくのだ。おそらく、隅田に抑え込まれる打者はそんな感覚なのかもしれない。

 今季が3年目になる隅田の話をキャンプ中に聞きたくなったのは調整ぶりが順調なことと立ち居振る舞いにある種の自信を感じるようになったからだ。そんな時、あの日の試合が彼を変えたのではないかと思い出したのである。

 あの日の試合とは、昨季のシーズン終了後に開催されたアジアチャンピオンシップでのことである。年齢制限のある代表とはいえ、侍ジャパンのユニホームに袖を通した隅田は予選リーグの大一番・韓国戦に先発すると、7回を3安打無失点に抑える圧巻の投球を見せたのだった。

 実は、試合前日、侍ジャパンの指揮官・井端弘和監督はこんな予言めいたことを言っていたのだ。

「合宿の時からボールが一段とよくなっていて、これは楽しみだなと。大事なゲームになる韓国戦の先発をすぐに決めました。隅田で行こうと。この試合は彼が一皮剥ける試合になると思う」
 
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「いい意味で重みを感じていないのかもしれませんね」