高校野球

新基準バット第1号のモイセエフは明らかに別格! その強打者から3奪三振の吉岡暖がみせた見事な投球【センバツの逸材たち/第2日】

THE DIGEST編集部

2024.03.20

第2日の第1試合で対戦した阿南光の吉岡(左)と豊川のモイセエフ(右)。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 大会第2日の最大の見どころだったのが阿南光のエース吉岡暖と、豊川の強打者モイセエフ・ニキータの対戦だ。結果は5打席で3個の三振を奪った吉岡の勝利と言えそうだが、モイセエフも第4打席で新基準バットの第1号となるホームランを放ち、一矢を報いた格好となった。

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 吉岡は終盤に4点は失ったものの、6回までは被安打わずかに1という見事な投球を見せ、チームの勝利にも大きく貢献した。特に威力を発揮したのが高低を使った攻めだ。ストレートは度々140キロを超え、時には意図的に高めのボールゾーンにも投げ込むなどそのスピードを十分に意識させており、それによってフォークボールの威力が増していたことは間違いないだろう。また100キロ前後のカーブを続けるシーンもあり、実戦的な部分が光った。高校からのプロ入りを目指すにはもう少し出力を上げたいところだが、春の時点では十分なパフォーマンスだったと言えそうだ。

 一方のモイセエフは吉岡の攻めに苦しんだが、それでもヘッドスピードは明らかに1人だけレベルが違い、第4打席に放った一発も飛距離は十分だった。なかなかここまでバットが振れる高校生は少ないだけに、今後も高い注目を集めることになるだろう。

 この2人以外で目立ったのが福田修盛(阿南光・中堅手)と箱山遥人(健大高崎・捕手)の2人だ。福田はヒットこそ1本だけだったものの、第1打席でも強烈な当たりのセカンドゴロを放って先制点をたたき出しており、中軸としての役割をしっかりと果たした。モイセエフと比べても体つきは一回り大きく、スイングの鋭さも引けを取らない。またセンターから度々ホームへ強い返球を見せるなど、肩の強さでもアピールした。

 一方の箱山は2年生投手2人を見事にリードしてチームの完封勝利に大きく貢献。1回にはいきなりバント処理でセカンドへ好送球を見せてピンチの芽を摘み、暴投、後逸もゼロと高い守備力は一際光った。バッティングも本来の当たりは出なかったものの、第4打席にしぶとくレフト前に運ぶタイムリーを放っている。総合力は高校球界全体でもナンバーワンと言える存在であり、2回戦以降の更なる活躍にも期待したい。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】モイセエフが新基準バットでの第1号アーチを放つ!
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