3年連続MVP&沢村賞受賞の山本由伸がドジャースへと去ったオリックス。絶対的エースが抜けた穴をいかに埋めるかが、リーグ4連覇へ向けての最大のポイントとされている。
【動画】MLB公認の投球分析家"ピッチングニンジャ"が山本由伸の衝撃投球に注目。「95マイルの速球と89マイルのスプリッターを重ねてみた」
過去の例を振り返っても、山本のようなスーパーエースの存在を補うのは至難の業であることが分かる。
1995年、野茂英雄がドジャースで日本人メジャーリーガーのパイオニアとしての道を歩み始めた一方で、古巣の近鉄は前年2位から最下位へ転落した。94年の野茂は右肩の故障により17先発、8勝にとどまったが、新人年の90年から93年まで4年連続で最多勝&奪三振王を獲得していた。"トルネード"が猛威を振るった間のチームはAクラスの常連だったが、その後は優勝争いからしばらく遠ざかり、エース不在の時期が続いた。
2013年、楽天はエースの田中将大が24勝0敗という無敗神話を作り上げ、球団創設初のリーグ優勝&日本一を達成した。だが、田中はその年のオフにヤンキースへ移籍。"神の子"が去った14年からの3年間は、チーム防御率とともにシーズン順位も6位か5位と大苦戦した。田中は21年に日本球界へ電撃復帰したが衰えを隠せず、チームも直近3年はBクラスと、かつて伝説を作り上げた神通力は失われている。
対照的に、逆境を跳ね返した例もある。 2012年、日本ハムはダルビッシュ有というあまりにも大きな存在が抜けたシーズンにリーグ優勝を果たした。エースの穴を埋めたのは吉川光夫で、前年まで通算6勝だったサウスポーがリーグベストの防御率1.71を記録してMVP受賞と飛躍。栗山英樹監督は就任1年目にして宙を舞った。翌13年、吉川の不振もあってチームはリーグ最下位に沈んだが、同年にデビューした大谷翔平の成長と軌を一にするように再浮上へ向かう。
15年オフ、前田健太のドジャース入りで広島は大きな打撃を受けた。当時は長期低迷から脱却間近という時期だっただけに、エースの流出は手痛いダメージになると思われたが、16年は球団25年ぶりのリーグ優勝。投手陣では野村祐輔が16勝を挙げて最多勝に輝き、助っ人左腕のジョンソン、前年からチームに復帰していた黒田博樹と三本柱を形成して前田の穴を最小限にとどめた。カープは17年、18年もリーグ制覇を果たすなどプチ黄金期を築いた。
一時的には低迷を余儀なくされたが、見事な「V字回復」を見せた例もある。
2007年、松坂大輔を失った西武は前年のリーグ2位から5位へ転落。球団26年ぶりのBクラスという屈辱を味わった、だが一方で、この年は松坂の横浜高校の後輩でもある涌井秀章がリーグ最多の17勝を挙げ、新人の岸孝之も奮闘。すると翌年は、野手陣で中村剛也、栗山巧らのブレイクもあって4年ぶりの日本一まで突っ走った。こちらも16年の広島と同様、絶対的エースが抜けた穴を、野手陣も含めたチーム全体のベースアップで補った例と言える。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。X(旧ツイッター)IDは@Struggler_AKIRA。
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2013年、楽天はエースの田中将大が24勝0敗という無敗神話を作り上げ、球団創設初のリーグ優勝&日本一を達成した。だが、田中はその年のオフにヤンキースへ移籍。"神の子"が去った14年からの3年間は、チーム防御率とともにシーズン順位も6位か5位と大苦戦した。田中は21年に日本球界へ電撃復帰したが衰えを隠せず、チームも直近3年はBクラスと、かつて伝説を作り上げた神通力は失われている。
対照的に、逆境を跳ね返した例もある。 2012年、日本ハムはダルビッシュ有というあまりにも大きな存在が抜けたシーズンにリーグ優勝を果たした。エースの穴を埋めたのは吉川光夫で、前年まで通算6勝だったサウスポーがリーグベストの防御率1.71を記録してMVP受賞と飛躍。栗山英樹監督は就任1年目にして宙を舞った。翌13年、吉川の不振もあってチームはリーグ最下位に沈んだが、同年にデビューした大谷翔平の成長と軌を一にするように再浮上へ向かう。
15年オフ、前田健太のドジャース入りで広島は大きな打撃を受けた。当時は長期低迷から脱却間近という時期だっただけに、エースの流出は手痛いダメージになると思われたが、16年は球団25年ぶりのリーグ優勝。投手陣では野村祐輔が16勝を挙げて最多勝に輝き、助っ人左腕のジョンソン、前年からチームに復帰していた黒田博樹と三本柱を形成して前田の穴を最小限にとどめた。カープは17年、18年もリーグ制覇を果たすなどプチ黄金期を築いた。
一時的には低迷を余儀なくされたが、見事な「V字回復」を見せた例もある。
2007年、松坂大輔を失った西武は前年のリーグ2位から5位へ転落。球団26年ぶりのBクラスという屈辱を味わった、だが一方で、この年は松坂の横浜高校の後輩でもある涌井秀章がリーグ最多の17勝を挙げ、新人の岸孝之も奮闘。すると翌年は、野手陣で中村剛也、栗山巧らのブレイクもあって4年ぶりの日本一まで突っ走った。こちらも16年の広島と同様、絶対的エースが抜けた穴を、野手陣も含めたチーム全体のベースアップで補った例と言える。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。X(旧ツイッター)IDは@Struggler_AKIRA。
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