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“返品”はたった1人、スイーパーを武器に名門球団で勝ちパターン入りした男も…今季の“MLB版現役ドラフト組”は豊作?<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2024.04.19

スレイテン(右)はレッドソックスで勝ちパターン入り、スペンス(左)もロングリリーフで奮闘するなど今年のルール5ドラフト組は豊作だ。(C)Getty Images

 昨年は細川成也(DeNA→中日)や大竹耕太郎(ソフトバンク→阪神)など、第1回現役ドラフトでチームを移った選手の活躍が話題を集めた。その原型となったのは、MLBのルール5ドラフトという制度だ。今季、アメリカでもルール5ドラフトで移籍した選手たちが存在感を発揮している。

 どんな選手が活躍しているのかという話に入る前に、まずはルール5ドラフトについて簡単に解説しておこう。現役ドラフトと同様、飼い殺しを防ぐ目的で創設されたこの制度は、MLBの公式ルールブックの第5条(ルール5)に規定されていることから、この名称で呼ばれている。

 ルール5ドラフトは、毎年12月のウィンター・ミーティング最終日に行われる。メジャーリーグ・フェイズとマイナーリーグ・フェイズの2つの区分があるが、ここでは前者に限定して説明する。
 
 対象となるのは、40人ロースターに入っていないマイナーリーガー。ただし、獲得には一定の制限が設けられ、18歳以下でプロ入りした選手は入団から5年、19歳以上は4年が経過していなければ指名できない。このため、毎年ルール5ドラフトが近づくと、各球団がこぞって有望な若手選手を40人ロースターに登録して流出を防ごうとする。

「飼い殺しを防ぐ」という目的においてはNPBよりもさらにシビアで、指名後にも制限が設けられる。ルール5ドラフトで選手を獲得した球団は翌年1年間、その選手をMLBの26人ロースターに登録しておかなければならないのだ(故障者リストに登録することは可能)。このため、指名するのはメジャーの戦力としてある程度計算できる選手に限られる。
 
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現役ドラフトと違って“返品”も可能