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人気ゲーム『MLB The Show』の腕前はワールドクラス!キューバ出身の若武者パヘスはドジャース外野陣の救世主となるか<SLUGGER>

藤原彬

2024.04.22

 思われていたより早くに訪れたチャンスを生かすべく、キューバ出身のアンディ・パヘス(ドジャース)が躍動している。4月16日のナショナルズ戦でメジャーデビューを果たして初安打を記録すると、5試合目の4月21日メッツ戦ではセンター方向へ初アーチを叩き込んで「世界最高の選手たちからホームランを打てるのはとてもエキサイティングだ」と喜びを語った。

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 落ち着いた物腰で語る息子と、その活躍を故郷で耳にした母親の反応は実に対照的だ。メジャー初昇格を報告した際は「周りに向かって叫び始め」、初安打を伝えると「近所に住む人たち全員を起こし始めた」という。海を向こうからのうれしい知らせに、喜びはひとしおだったはず。息子が亡命し、2017年に17歳でドジャースと30万ドルで契約してから夢舞台にたどり着くまで、7年の月日が経過していたのだから。

 入団1年目の18年にマイナーで10本塁打を放つなど、順調にプロ生活を滑り出したがパヘスだが、19年オフには現在のチームの顔であるムーキー・ベッツ獲得に絡んだトレードでエンジェルスへの移籍が決まりかけたことがあった。エンジェルスのアート・モレノ・オーナーの介入でこの話は立ち消えになったが、もしそのまま新天地に移っていたらどうなっただろう。

 21年に1A+で31本塁打、翌22年も2Aで26ホーマーに加えて14補殺など、マイナーの階段を駆け上がりながらパワーと強肩を開花させた。メジャーデビューが期待された昨季は5月の3A昇格後最初の試合で左肩を負傷。手術を受けてそのままシーズン絶望となったが、迎えた今季はオープン戦から絶好調。開幕後は3Aでの15試合で5本塁打と猛アピールし、ベテランのジェイソン・ヘイワードが腰を痛めて戦列を離れたタイミングでメジャー初昇格の声がかかった。
 オフの豪華補強とは裏腹に序盤戦の戦いはいまひとつ、特に外野陣の停滞が穴になっているチームで、パヘスには起爆剤として期待がかかる。若さと身体能力が売りであることに違いはないが、一方で攻守における賢明さも持ち合わせている。

 打撃ではキューバ出身選手らしい積極性を持ち合わせつつ、対戦相手のデータ分析に費やす時間がかなり多いことをマイナー時代の打撃コーチが証言しており、昨年もボールの見極めに改善傾向が見られた。外野守備での優れた読みでも評価を集め、デーブ・ロバーツ監督も「非常に頭の回転の速い選手」と認めている。

 その裏付けとして、マイナー時代のエピソードが興味深い。コロナ禍でシーズンが中止になった20年、それまでプレーしたことのなかったテレビゲーム『MLB The Show』の腕を磨いたパヘスは何と世界ランク入りを果たし、ゲーム実況配信者を打ち負かした。ボールの回転や軌道を瞬時に見極める能力についてはベッツが有名だが、もしかすると23歳の新鋭にも同じような能力が備わっているのかもしれない。

 優れた若手選手を次々に輩出するドジャースのマイナーシステムが新たに送り出した若武者は今後、どんな活躍を見せてくれるだろうか。

文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。X(旧ツイッター)IDは@Struggler_AKIRA。

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【動画】キューバ出身の新鋭パヘス、バックスクリーン右へ豪快メジャー初アーチ!