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長打増を目指すも打撃不振に苦しみ、最近は5試合連続スタメン落ちも...吉田正尚が直面する“不良債権化”の危機<SLUGGER>

藤原彬

2024.04.27

メジャー1年目と比べてフライを打つ割合は上がった吉田だが、強い当たりがなかなか出ない。(C)Getty Images

 メジャー2年目を戦う吉田正尚(レッドソックス)の苦境が続いている。ここまで22試合に出場して打率.250、2本塁打、OPS.660(現地4月26日時点)はDHとしては到底物足りない数字で、最近は出場機会が激減している。今永昇太(カブス)との日本人対決が期待された26日も、先発メンバーに吉田の名前はなく、これで5試合続けてスタメン落ちとなった。

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 年俸1800万ドルはチームで3番目の高給取りとあって、このままでは"不良債権"の烙印を押されてしまうことは確実。データを参照しながら、苦戦の理由を改めて考えてみたい。

 まず、開幕前に本人も明言していたように、長打増へ向けて打球に角度をつけようという意思は感じられる。平均打球角度は3.9度から10.1度へ上昇。その結果、ゴロ率は前年の55.0%から46.8%にまで下がり、MLB平均(44.6%)と近い値となった。

 だが、打球の「質」がついてこない。

 打球初速95マイル以上のハードヒットを打った割合は昨季の40.6%→33.9%、長打となる確率が高い「バレル」打球の割合も半減(6.6%→3.2%)してしまっている。
 
 また、シフトを敷かれる割合が31.6%→53.1%まで急上昇した影響もあってか、長打だけではなくヒットを量産することもできていない。昨季はリーグ7位の打率.289を記録するなど、打撃の確実性に関しては合格点だったが、今季ここまでは欠点を改善できないまま長所も消えてしまった格好だ。持ち前の選球眼とコンタクト能力の高さは健在でも、守備や走塁で貢献できない以上、やはり長打を量産していかないことにはベンチの信頼は得られない。

 実は、出場気概の激減はチーム事情ゆえでもある。タイラー・オニール、ジャレン・デュラン、ウィラー・アブレイユの外野陣3人はそれぞれ持ち味を発揮し、そこに割って入るのは難しい状況。さらに、本来は三塁のラファエル・デバースが肩を痛めてDHに回る機会が増えた。これにより、吉田がはじき出されてしまった状況で、その意味では気の毒な面もある。

 とはいえ、昨季後半戦から長く続く打撃停滞が今回の事態を招いた最大の要因であることは確か。日本球界屈指の強打者として活躍し、WBCの優勝にも大きく貢献した男はここから巻き返せるだろうか。

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。X(旧ツイッター)IDは@Struggler_AKIRA。

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