大学野球

九州の“ロマン系”右腕、チェンジアップが武器の実戦型投手が注目度上昇!【全日本大学選手権で評価を上げたドラフト候補5人】<SLUGGER>

西尾典文

2024.06.17

最優秀投手賞を受賞した東日本国際大の藤井。この大会で大きく評価を上げたことは間違いない。写真:山手琢也

 青山学院大の史上6校目となる大会2連覇で幕を閉じた全日本大学野球選手権。4年生のドラフト候補にとっては非常に重要な大会となるが、その中でも今大会で評価を上げたと思われる選手を5人、ピックアップして紹介したいと思う。

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▼広池康志郎
(東海大九州キャンパス│投手│都城農高)
【今大会の成績】1試合 5.0回 被安打7 自責点2 4奪三振 0四死球
【現時点での評価】支配下指名の可能性あり

 九州の大学球界で密かに注目されていた大型右腕。大学入学後もまだ身長(骨)が伸びていたこともあって高い負荷のトレーニングが行えず、この春も体調不良で出遅れてわずか1試合の登板に終わっている。しかし、本大会では先発を任せられると、負け投手にはなったものの、5回を投げて2失点と試合を作った。

 長いリーチを生かした豪快な腕の振りが特長で、ストレートの最速は151キロをマーク。テイクバックで体が後傾し、少し無駄な動きも目立つものの、指にかかった時のボールの勢いは申し分ない。典型的な未完の大器というタイプで育成に時間はかかりそうだが、スケールの大きさは魅力だ。1回戦の登板には多くのスカウト幹部が球場を移動して視察に訪れていた。
▼藤井優矢
(東日本国際大│投手│角館高)
【今大会の成績】4試合 23回 被安打15 自責点2 17奪三振 6四死球
【現時点での評価】支配下指名の可能性あり

 春のリーグ戦では5勝0敗、防御率0.72という圧巻の成績でMVP、最多勝、最優秀投手、ベストナインを受賞。本大会ではリリーフに回り、全4試合に登板するフル回転の活躍でチームを準決勝進出に導いて最優秀投手賞を受賞した。投手としてはそれほど体が大きいわけではないが、姿勢が良く、しっかりと体重を軸足に乗せてからスムーズに体重移動でき、シャープな腕の振りが持ち味。特にシュートしながら沈む130キロ台の速いチェンジアップはストレートと軌道が変わらず、打者の手元で鋭く変化する必殺のボールだ。

 ストレートのスピードは140キロ台中盤と驚くような速さはないものの、勝負所でギアを上げられるのが長所。制球力も高く、スタミナも申し分ないだけに、もう少しアベレージの出力が上がってくればプロ入りも見えてくるだろう。

▼印出太一(早稲田大│捕手│中京大中京高)
【今大会の成績】16打数4安打3四球 打率.250
【現時点での評価】支配下指名の可能性あり

 中京大中京では高橋宏斗(現・中日)とバッテリーを組んでいた大型捕手。大学では好不調の波が大きかったが、この春は攻守に安定したプレーで2度目のベストナインを受賞した。本大会で特に目立ったのが守備での貢献だ。スローイングは昨年までと比べて明らかに素早さも正確性もレベルアップしており、度々盗塁阻止や牽制で走者を刺してピンチを救った。
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青山学院大・佐々木、九州産業大・浦田も着実にアピール成功