専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
大学野球

中日レジェンドも絶賛“次世代の名遊撃手”宗山塁(明治大)が目指す進化形の守備とは?【神宮を沸かせる男たち①】

矢崎良一

2023.06.06

1年次から明大のショートを任される宗山。名手・井端も絶賛する守備力を持つ。写真:産経新聞社

1年次から明大のショートを任される宗山。名手・井端も絶賛する守備力を持つ。写真:産経新聞社

 高校野球の春夏の甲子園のような国民的な盛り上がりこそないが、大学野球には熱心な野球ファンを惹きつける独自の魅力がある。学生野球の聖地・神宮球場を主戦場とする東京六大学、東都リーグを中心に、プロ注目のスター候補生や、スポーツ紙が取り上げないチームのキーマン、個性溢れる指導者など、令和の大学野球を彩る「人」をクローズアップする不定期連載企画。

 第1回は、あの名手から「源田(壮亮=西武)の次の日本代表のショート」と絶賛される〝次世代の名遊撃手〟宗山塁(明治大学・3年)だ。

―――◇―――◇―――
 

 高校生でも大学生でも、アマチュアの選手(野手)がピックアップされる時に、その基準はほとんどがバッティングの評価になる。宗山もそうだった。昨年、まだ2年生の春にして、シーズン.429の高打率を記録し首位打者を獲得。身長175cmと決して大柄ではないが、ホームランも年間で7本(3年春まで通算8本)と、六大学を代表する功打の内野手として脚光を浴び、大学JAPANにも選出されている。しかし、宗山のバリューをもうワンランク引き上げたのは、あの名手からの評価だった。

「明大のショートの宗山君。あの子は本当にうまい。今、プロの中に入れてもトップレベルの守備だと思うよ」

 現役時代、プロ野球屈指と謳われたショートの守備を誇り、現在は野球評論家の傍らアマチュアの現場でも指導を行っている井端弘和が、宗山の守備を絶賛し、自身のYouTubeなどで何度も発信してきた。打率や本塁打数など数字から見えてくることが多いバッティングと違い、守備の巧拙は数値化しにくいし、一般のファンにはなかなか判断がつかない。井端の言葉で、『なんでも鑑定団』の鑑定士に高い評価を受けた美術品のように、宗山の「守備」に陽が当たることになった。

 だが、そうした解説がなくても、神宮球場に足を運ぶ六大学野球ファンはもう気付いていたはずだ。スタンドから見る宗山の守備は、たしかに「うまい」。広い守備範囲。緩い打球、クセのある打球もしっかり身体の正面に入れ、柔らかいグラブ捌きで捕球する。1年生の頃はたまにスローイングが乱れることがあったが、今はそれもなくなり崩れる要素がない。

 宗山は「楽にアウトにしたい」と口にする。もちろんそれは、横着をしたいという意味ではない。捕球とスローイングを常に一連の動きとして考えている。切り離してしまうと、送球で肩の力に頼ることになるからだ。
「捕球に行く動きの流れで、ムダな力を入れずに、足を運ぶだけで(スローイングを)フィニッシュしたらボールがファーストに伸びて行くような、そんな力感のない軽やかな守備をしたいんです。どんなにスピードがあっても、打球に衝突するような捕り方をしているとエラーにつながる。打球との間合いをしっかり取って、やさしく捕るというのでしょうか。それは日頃から意識しています」
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号