プロ野球

西武の低迷を招いた5つの誤算。渡辺監督代行の″育てる采配”で今後はどこまで上向けるか?<SLUGGER>

氏原英明

2024.06.20

交流戦最下位に終わり、ファンに頭を下げる西武首脳陣。果たしてこの低迷が終わるのはいつの日か。写真:産経新聞社

 交流戦を終えてもトンネルの出口は見えてこなかった。史上初めてとなる2年連続の交流戦最下位に終わった西武は、監督を交代しても状態が上がってこない。何が原因なのだろうか。開幕からここまで、今季の西武の誤算を検証してみよう。

1 アギラー、コルデロの両外国人の不振

 メジャー通算113発の助っ人ヘスス・アギラーは、チームの中心を担うと期待されていた大砲だった。2018年にはMLBのオールスターにも出場したスラッガーだけに、「よく獲れた」という見方がある一方、昨年7月に渡辺久信GMがインタビューで「日本の投手のレベルが高いから新外国人選手が1年目から活躍するのは簡単ではなくなっている。うちのマキノンが健闘している方だ」と語っていたように、昨今は助っ人が日本で活躍する難しさに対する懸念の声もあった。

 結局、アギラーはこれまで30試合に出場して2本塁打のみ。5月上旬に足首の痛みを訴えて現在も離脱中だ。中距離ヒッターとして期待されたコルデロも2度のファーム落ちを経験し、日本人投手のレベルの高さにまったく歯がたたないのが現状だ。ただでさえ、昨オフに山川穂高がソフトバンクへFA移籍し、他に長距離打者が40歳の中村剛也しかいない状況では、中心に据えられる選手が不在で、打線を組むのも精一杯。新外国人選手の2人の不振が大きく響いているのは間違いない。
 
2 外野手のレギュラー不在。

 西武が昨季から課題としてきたのが外野のレギュラーで、「一人も決まっていない」と松井稼頭央前監督もシーズン前から話していた。ただ、多くの若手選手が昨季一軍を経験。2年目を迎える蛭間拓哉を筆頭に、長谷川信哉、西川愛也、若林楽人、岸潤一郎など抜け出す選手が出てくる期待はあった。ところが蛭間、長谷川はオープン戦から不調で開幕一軍ならず。若林は開幕スタメンこそ勝ち取ったものの定着できなかった。結局ベテランの金子侑司がスタメンの一角を担うほどで、現在もレギュラーは定まっていない。育成に舵を切るタイミングが遅れたことが、現状を招いているのは間違いないだろう。

3 源田、外崎の不調
 若手の成長が遅れる一方、チームの中心的存在である源田壮亮、外崎修汰が波に乗れていないのも、紛れもない事実だ。源田は63試合に出場し、打率.229と低迷。出塁率も3割を切り、チャンスでことごとく凡退するなど調子が上がってこない。昨季までは2番を打つことが多かったが、今季は下位でも出番も増えている。開幕戦は3番だった外崎も51試合で打率.228。6月8日に左足を負傷して途中交代し、現在は二軍で調整中の身だ。

 2人もすでに30歳を超え、ともに二遊間を長く担ってきた。これは過去のコラムにも書いたが、人工芝を本拠地球場にする選手は運動量が多く、身体への負荷が大きい。その金属疲労と年齢が押し寄せている。この年齢になると、一度は低迷期が訪れる選手も少なくない。例えば、チームメイトの中村は17年に不調でファーム落ちも経験したが、バッティングスタイルを変えて再浮上した。

 ただ、それができたのは浅村栄斗(現楽天)や森友哉(現オリックス)、山川穂高(現ソフトバンク)など、次世代の担い手が台頭していたからだ。そのため離脱しても時間的余裕を得ることができた。だが、現在の西武は若手が伸び悩み、源田、外崎の疲労を救える状態にはなく、悪循環を招いている。源田は「若手には負担をかけて申し訳ないと思っている」と話す一方で、鈴木将平は「本来は僕や(佐藤)龍世がチームを押し上げていかないといけないのに、源さんに頼りっぱなしなのがいけない」とともに反省を口にしているのは、チームの現状を象徴している。
 
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