シーズン折り返しを前に失速した今永昇太の現状を「正念場」とするには時期尚早かもしれないが、カブスにとっては適切な表現だろう。
【動画】オールスター選出の今永がチームメイトの笑いを誘うコメント!
チームは現在42勝49敗でナ・リーグ中地区最下位に低迷中。好調な出だしで4月に作った貯金7を5月にすべて吐き出し、6月も借金が増えた。ワイルドカード3位まで5.5ゲーム差とギリギリで望みは残しているものの、後半戦に向けての見通しは決して明るくない。先日、米メディアESPNが「前半戦の全30チームMVP」を発表し、カブスからは今永が選ばれたが、記事中の「本当の答えは『誰もいない』かもしれない」の一文に現在のチームの苦境が凝縮されている。
シーズン最終盤までプレーオフ進出を争った昨季を経て、オフに地区ライバルのブルワーズからクレイグ・カウンセル監督を5年4000万ドルの厚遇で引き抜き。さらに、実質1年契約とはいえ主砲コディ・ベリンジャーの引き留めにも成功した。否が応でも期待が高まっていただけに、「ファンから選手、フロントオフィス、そしてオーナーに至るまで全体に不満が広がっている」(『ジ・アスレティック』)のも無理はない。 先日、ジェド・ホイヤー編成総責任者は、状況によっては「リアリストにならなくてはならないと思う」と語っていた。つまりそれは、夏のトレード市場で「買い手」ではなく「売り手」に回ることを意味する。事実、最近はベリンジャーやイアン・ハップ、ジェイムソン・タイオンら主力の放出説が絶えない。
一方、先述したように、現時点では何とかプレーオフ圏内にとどまっているのも事実。大混戦のワイルドカード争いでどのチームも決め手に欠く中、今後の戦い次第では再浮上する目もまだ残っている。
ただ、もう時間的な猶予はほとんど残っていない。オールスター前最後の2カードは、ア・リーグ東地区首位のオリオールズ、ワイルドカード2位につける地区ライバルのカーディナルスとの敵地での7試合。ここで大きく負け越すようだと、事実上の白旗となってしまう可能性が高い。
今永は10日のオリオールズ戦に先発予定。シーズン序盤のような快投を再現できれば、チームはプレーオフ争いに何とか踏みとどまることができる。一方、ここ最近の不調を引きずってしまうようだと、“終戦”にまた一歩近付くことになる。オールスター選出の喜びに浸る間もなく、“投げる哲学者”は早くもシーズンを懸けた大一番に臨もうとしている。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。X(旧ツイッター)IDは@Struggler_AKIRA。
【関連記事】「もし賞金が獲れたらみんなで山分け」“マイペースな”今永昇太、史上9人目の日本人ルーキーでオールスター選出を告げられた後も通常運行で喜びを表す
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チームは現在42勝49敗でナ・リーグ中地区最下位に低迷中。好調な出だしで4月に作った貯金7を5月にすべて吐き出し、6月も借金が増えた。ワイルドカード3位まで5.5ゲーム差とギリギリで望みは残しているものの、後半戦に向けての見通しは決して明るくない。先日、米メディアESPNが「前半戦の全30チームMVP」を発表し、カブスからは今永が選ばれたが、記事中の「本当の答えは『誰もいない』かもしれない」の一文に現在のチームの苦境が凝縮されている。
シーズン最終盤までプレーオフ進出を争った昨季を経て、オフに地区ライバルのブルワーズからクレイグ・カウンセル監督を5年4000万ドルの厚遇で引き抜き。さらに、実質1年契約とはいえ主砲コディ・ベリンジャーの引き留めにも成功した。否が応でも期待が高まっていただけに、「ファンから選手、フロントオフィス、そしてオーナーに至るまで全体に不満が広がっている」(『ジ・アスレティック』)のも無理はない。 先日、ジェド・ホイヤー編成総責任者は、状況によっては「リアリストにならなくてはならないと思う」と語っていた。つまりそれは、夏のトレード市場で「買い手」ではなく「売り手」に回ることを意味する。事実、最近はベリンジャーやイアン・ハップ、ジェイムソン・タイオンら主力の放出説が絶えない。
一方、先述したように、現時点では何とかプレーオフ圏内にとどまっているのも事実。大混戦のワイルドカード争いでどのチームも決め手に欠く中、今後の戦い次第では再浮上する目もまだ残っている。
ただ、もう時間的な猶予はほとんど残っていない。オールスター前最後の2カードは、ア・リーグ東地区首位のオリオールズ、ワイルドカード2位につける地区ライバルのカーディナルスとの敵地での7試合。ここで大きく負け越すようだと、事実上の白旗となってしまう可能性が高い。
今永は10日のオリオールズ戦に先発予定。シーズン序盤のような快投を再現できれば、チームはプレーオフ争いに何とか踏みとどまることができる。一方、ここ最近の不調を引きずってしまうようだと、“終戦”にまた一歩近付くことになる。オールスター選出の喜びに浸る間もなく、“投げる哲学者”は早くもシーズンを懸けた大一番に臨もうとしている。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。X(旧ツイッター)IDは@Struggler_AKIRA。
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