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史上最年少はトラウトの20歳、ボンズ父子は5回ずつ記録...大谷が日本人初の達成者となった「30-30」にまつわる5つのトリビア<SLUGGER>

藤原彬

2024.08.07

日本人選手では初の30-30を達成した大谷。史上6人目の40-40はもちろん、さらにその先も視界に捉える。(C)Getty Images

 大谷翔平(ドジャース)が自身初の30本塁打&30盗塁(30-30)を達成した。パワーとスピードを兼ね備えた選手のみに許された記録とも言える30-30の達成者は、長いメジャーリーグの歴史でも47人のみ。今回はその30-30にまつわるトリビアを紹介しよう。

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■30代での達成者は全体の2割だけ
 達成者の平均年齢は27歳で、選手としてはまさに身体と技術がピークを迎える時期だ。史上最年少は2012年のマイク・トラウト(エンジェルス)で20歳。この時は「ルーキーとしては史上初」という冠もついた。一方、今季の大谷のように30歳以降の達成者は14人のみ。最年長は32歳(5人)という事実からも、年齢を重ねてからは達成が難しい記録であることがよく分かる。

■捕手の達成者はまだなし
達成回数はボビー&バリー・ボンズ父子の5回ずつが歴代最多で、息子バリーは1996年に父があと一歩で届かなかった40-40も成し遂げた。ボンズ父子を除くと、複数回達成者は全部で12人。広島に在籍したこともあるアルフォンソ・ソリアーノは4回もクリアし、現役ではロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)が唯一の複数回達成者だ。ポジション別では外野手が32人で最多。次いで遊撃手が多く、DHでは大谷が史上初の達成者であることは周知の通り。ちなみに捕手の達成者はまだ出ていない。

■本塁打&盗塁の2部門制覇は至難の業
30-30を達成したシーズンに本塁打と盗塁両部門でタイトルを獲得した選手はまだいない。最も惜しかったのは2011年のマット・ケンプ(ドジャース)で、39ホーマーで本塁打王を獲得し、40盗塁も2位タイ。史上5人目(当時)の40-40も1本塁打足りずに逃した。もっとも、盗塁数は2位タイとはいっても1位とは21個も差をつけられていた。今季の大谷も、エリー・デラクルーズ(レッズ)が走りまくっていて盗塁王獲得はかなり難しい。ちなみに、30-30を達成した年にMVPを受賞した選手は大谷の盟友ムーキー・ベッツ(レッドソックス時代の18年)も含めて過去7人。大谷が8人目となる可能性はかなり高い。
■イメージに似つかわしくない達成者も
「パワー&スピード」というフレーズからはすぐに連想できない選手も30-30を達成している。1990年代~2000年代前半にアストロズで活躍し、重心を極端に低く落としたガニ股が特徴的だったジェフ・バグウェルは体格もがっしりしていたが、97年(43本塁打&31盗塁)、99年(42本塁打&30盗塁)に2度30-30達成。逆に、主にレッドソックスで活躍したジャコビー・エルズベリーは盗塁王3度の典型的な俊足巧打型。30-30を達成した年以外では14年の16本塁打が最多で、10本を超えたのもキャリアで2度のみ。32本塁打&39盗塁を記録した11年は文字通りの"狂い咲き"だった。


■史上初の「45-45」、はたまた「50-50」も?
30-30よりさらにすごい40-40達成者はこれまで5人。昨季、アクーニャJr.は41本塁打&73盗塁で史上初の「40-70」を達成した。大谷は5日(現地)終了時点で34本塁打&32盗塁で、このままいけば49本塁打&46盗塁となる。「50-50」はもちろん、「45-45」もこれまで一人も達成したことのない金字塔。大谷がこれまでに達成してきた無数の「前人未到」記録に、また新たな1ページが加わるかもしれない。

文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。X(旧ツイッター)IDは@Struggler_AKIRA。

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