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「豊田さんは日本になじめるよう助けてくれた素晴らしいコーチ」西武で学んだスプリットを武器に好投を続けるメッツの“元助っ人”<SLUGGER>

杉浦大介

2024.09.15

ギャレットのスプリットは空振り/スウィング率50%以上とメジャーの強打者たちを完全に牛耳っている。(C)Getty Images

 プレーオフ進出を目指して快進撃を続けるメッツで、NPB出身の右腕が重要な役割を果たしている。2020~21年に西武で計110試合に登板したリード・ギャレットが、今季はメッツの中継ぎの一角として定着。自己最多の48試合に登板し、53.2イニングで78奪三振、防御率3.35と優れた成績を残してきた(現地9月13日終了時点)。

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 日本では豪腕の印象が濃かったとされる右腕だが、31歳になった現在はスプリッター(投球割合27.7%)、カッター(同23.4%)、スイーパー(19.9%)、4シーム(15.9%)、2シーム(13.1%)と5つの球種をバランス良く操り、より成熟した投手になった印象がある。

 日本から戻ってからの2年間、ナショナルズとオリオールズでは目立った働きができなかったギャレットは今季なぜ開花できたのか。彼のキャリアの中で日本での日々はどんな意味を持っているのか。8月下旬、シティ・フィールドのクラブハウスでじっくり語ってもらった。

――9月4日、レッドソックス戦で登板した際、NPB時代にも対戦経験がある吉田正尚選手をカッターで2ゴロに打ち取りましたが、吉田は「日本にいた頃、カットはあまり見たことはなかった」と少し驚いていました。

リード・ギャレット(RG) それは面白いね。日本での1年目はカットも少し投げていたんだけど。とにかくいい仕事ができて良かったよ。

――今季はメッツの中継ぎとして立場を確立し、重要な貢献を果たしています。いい結果が出るようになった理由は?
 
RG 昨季終盤にこのチームに加わり、自分的にはいい投球ができていた。その自信を持って今春のスプリング・トレーニングに臨み、これまでで最大のチャンスに恵まれることができた。それに加え、チームのスタッフが僕の成功のためにできることは何でもやってくれたのが大きかったのだと思う。チーム全体の努力の成果だよ。

――カッターに磨きをかけたのが大きかったとか、そういった理由ではなかったんですね。

RG それも一因ではある。カッターはアメリカに戻ってきた22年から改善に取り組み、徐々に使えるようになっていった。いつでもストライクが取れて、有利なカウントにするための武器が増えたのは大きかったと思う。

――今、日本での日々をどう振り返りますか?

RG 楽しい時間だったよ。家族に会えないのがつらかったけど、野球選手として貴重な時間だった。日本行きの機会を得たチ選手には「最高の場所だから行くべきだ」と勧めているんだ。

――具体的にはどんなところが良かったですか?

RG 自分を向上させるために、あえて快適な場所から出る必要があった。人間としても成長し、おかげで野球でも向上できたのだと考えている。強打者をアウトに取るためには、日本での時間が必要だったんだ。私にとって大切なレッスンの場だったという風に認識している。
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「チームにどうやって溶け込めばいいかをよく考えた」