プロ10年目の小田裕也が今シーズン限りで引退した。24日の西武戦では、同期入団の盟友・西野真弘が三塁打を放った後に代走で出場。そのまま外野の守備にもついて、打席にも立つことができた。デビューからイケメンのポーカーフェイスを貫いてきた小田だが、さすがにこの日は感極まったのか、目には光るものが見えた。
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引退発表の際、「いい時ばかりじゃなく、むしろ悪い時の方が多かった」とプロ野球人生を振り返っていた小田だが、とても向上心が高い選手だった。ルーキーイヤーからチームの暗黒時代が続いたこともあり、ある年の秋季キャンプでは「優勝はもちろんですけど、まずはCSに出たいですね。僕、CS出たことないんですよ。そのためにはもっと塁に出て、僕や西野が走らないと。福良監督(当時)がやりたい野球を僕らができてないなと思います」と話していたこともあった。
シーズン中はなかなか話しかけづらい時があったと話すと「そうっすか。ああ、確かに近寄るなオーラ的なのを出してだかもしれないっすね」と照れ笑いを浮かべながら話していたのを思い出す。後藤駿太(現中日)に「このチームでキャプテンをやるなら誰が理想か?」と尋ねたら、即答で「小田さん」という答えが返ってきたこともあった。理由は「小田さんには誰も何も言えないし、チームを引っ張っていく力があるんですよ」。残念ながら実際にキャプテンとなることはなかったが、背中でチームを引っ張っていた。
社会人からの同期入団でもある西野は、寮時代は隣り部屋で仲が良かったのは有名な話。どちらかが怪我で離脱してしまい、二人で揃い踏みする機会が少なかったが、マスコミの間では「来年は広島のキクマルみたいになる」と期待する声も多く、小田、西野の1、2番が構想された時期もあった。
先にユニフォームを脱ぐことを決めた小田について西野は「いや、やっぱり一番に寂しいっていうか、 驚きがありましたし、まだできるだろうっていうのは正直思ってますけど。でもね、いろんな選択肢がある中で、引退を決断したっていうことは正解だと思うんで。 いろんな思いありますけど、僕はその道を応援したい」と語る。
小田との思い出について、西野は次のように語った。「前の年(2014年)に2位になって、期待されて入って、僕らは1年目からそんなに勝てなくて、ずっとBクラスから一緒にやってたんで。その中でもね、やっぱりリーグ優勝、日本一と経験できたっていうのは嬉しかった」。
「ずっと一番近くで見てたのもあるんで、好きですし。1個上の先輩ではあるんですけど、 普通に仲良く接してくれて、本当に感謝してます」。その感謝の気持ちが、気迫のこもった三塁打につながったのだろう。代走に向かう小田と軽く抱擁を交わした西野の目は涙でにじんでいた。これに思わずもらい泣きしたファンも多いはず。
T-岡田や安達了一も引退してしまったため、西野は野手チーム最年長になった。FA権を取得しているため、来シーズンの去就はまだ分からないが、今シーズンは何度離脱しても3割前後の打率をマークし、打席ではファウルで粘りまくる場面も目立った。こういう嫌らしいタイプの選手がオリックスにはなかなかいないだけに、引退した3人の気持ちを背負いながら、この先も活躍し続けてもらいたい。小田の想いは西野が引き継いでいく。
取材・文●どら増田
【著者プロフィール】
どらますだ/1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第9回 特集オリックス・バファローズ』(カンゼン)ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、山本由伸と那須川天心の“神童”対談を実現させたことも。
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社会人からの同期入団でもある西野は、寮時代は隣り部屋で仲が良かったのは有名な話。どちらかが怪我で離脱してしまい、二人で揃い踏みする機会が少なかったが、マスコミの間では「来年は広島のキクマルみたいになる」と期待する声も多く、小田、西野の1、2番が構想された時期もあった。
先にユニフォームを脱ぐことを決めた小田について西野は「いや、やっぱり一番に寂しいっていうか、 驚きがありましたし、まだできるだろうっていうのは正直思ってますけど。でもね、いろんな選択肢がある中で、引退を決断したっていうことは正解だと思うんで。 いろんな思いありますけど、僕はその道を応援したい」と語る。
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取材・文●どら増田
【著者プロフィール】
どらますだ/1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第9回 特集オリックス・バファローズ』(カンゼン)ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、山本由伸と那須川天心の“神童”対談を実現させたことも。
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