プロ野球

監督を交代させるだけではチームは変わらない。屈辱の最下位に沈んだ西武が取り組むべき「2つの重要課題」

氏原英明

2024.10.07

奪三振のタイトルを獲得した今井と長期契約を結び、先発投手陣を安定させたい。写真:THE DIGEST写真部

 2024年のプロ野球レギュラーシーズンは、あと数試合を残して順位が確定した。

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 これからポストシーズンが始まり、白熱の1ヵ月を迎える一方、CS進出を残したチームは早くも来季へ向けての立て直しに動く。

パ・リーグでダントツ最下位に甘んじた西武は、西口文也二軍監督を新たな指揮官に据えることが内定、ヘッドコーチに鳥越裕介氏を招聘するなど、いち早く来季のトップを整えている。

 だが、チームの再出発へ向けて一つの懸念点がある。

 前監督の松井稼頭央氏は有能ではなかったかもしれないが、代行を務めた渡辺久信氏は日本一にも輝いたことがある名将だ。その渡辺監督代行でも立て直すことができなかったチームが、果たして監督を交代させたところで変われるのだろうか。そもそも、チームビルディングから考え直す必要があるのではないか。

 そこで、西武が今、取り組むべき重要課題をいくつか挙げてみた。

 1つめは平良海馬と今井達也への長期契約提示だ。

 平良と今井にはメジャー志向があると報道されているから難しいように感じられるが、今年1年で状況が変わってもおかしくないのではないか。下位に低迷したチームを放っておくような選手には見えないからだ。

 平良に関しては憧れの先輩・菊池雄星(アストロズ)の取り組みを取り入れるなど、かなりメジャー志向は強いと言われている。
 
 しかし、平良が今季のシーズン中に痛めた右肘の状態は決して安心できるものではない。手術を回避したとはいえ、来季になって再発することがあれば、長期離脱は避けられなくなるだろう。事実、復帰以降は肘の状態を考慮しての中継ぎ起用だったというし、投球自体も平良の本領を発揮したものとは言えなかった。

 そこで、彼が思い切りプレーをする余裕を与えるのだ。例え大きな故障を負ったとしても、長期契約を保証することにより、治療に専念できるようにする。今、平良に大事なことはいつメジャー挑戦するかではなく、どのようにして元の状態に戻すかだ。

 治療の時間をじっくり作ることや思い切りプレーできる環境をあえて与えることで、本来の力を取り戻してもらう。平良の復調を後押しする姿勢を見せることによって、平良自身も球団への感謝を持つだろうし、他の選手にも球団の姿勢が伝わるはずだ。

 一方、今井への長期契約提示は状況が異なる。

 今季の今井は2年連続で2桁勝利を挙げ、初めて奪三振のタイトルも獲得した。言動や練習に取り組む姿勢も含めて、エースの存在感でチームを牽引したと言っていい。その姿勢から、これまでのエースと同じ強い責任感、ライオンズを勝たせたいという強い想いを感じた人も多いはずだ。

 そんな今井に最大級の条件を提示する。エースナンバーである背番号「18」も提示していいと思う。今後3~5年にわたってエースを背負ってもらうことによって、チームに安定をもたらす存在になる。現在の今井は、球団が最大限の誠意を示すに値する選手である。後藤高志オーナーも、ホームゲーム最終戦の後、今井に対して「責任感を全うした」と最大限の賛辞を送っている。