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電撃辞任のオリックス中嶋監督はシーズン前からV逸辞任を決めていた?今季はメディア対応にも変化【オリ熱コラム2024】

どら増田

2024.10.07

21年からリーグ3連覇を果たした中嶋監督。突然の辞任でファンを驚かせた。写真:野口航志(DsStyle)

 オリックスは6日の楽天戦で今シーズンの全日程を終えた。最後は8-1で豪雨による7回雨天コールド勝ちで終えたものの、この日はエース宮城大弥の規定投球回数到達と最優秀防御率のタイトルがかかっており、8回1/3を1失点というノルマに届かず。コールドが発表されたと同時に、ベンチで天を仰いだ宮城は悔しさのあまり号泣した。勝ったにもかかわらず何とも切ない試合になってしまったのは、リーグ3連覇から5位に転落した今季のチームを象徴しているようだった。

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 試合後、衝撃のニュースが飛び込んできた。暗黒時代からリーグ連覇に導いた中嶋聡監督が今シーズン限りで辞任すると発表したのだ。思わぬ"ナカジパニック"に、ファンだけでなく報道陣にも動揺が走った。

 中嶋監督は球団を通じて「選手には『責任はこちらにあるから思い切ってやってくれ』と言っていました。それを考えれば、三連覇していたチームがここまで落ちるということに関しての責任はしっかりと取りたいと思います。球団には、強く引き止めていただいたのですけれど、何かが足りない中で、新しいことを始めるときには新しい人がやるべきだと思います。良い思いもさせてもらいましたし、悔しい思いも辛い思いもしましたけれど、それをこのメンバーで共有できたということを感謝しています。楽しかったですね。ありがとうございました」と辞任の理由を説明している。

 また、福良淳一GMは「中嶋監督より辞意の申し出を受け、球団としては幾度も対話を重ね慰留に努めましたが、本人の意思は固く、今季限りでの退任となりました。とても残念な気持ちであることは当然ですが、同時に25年ぶりにチームをリーグ優勝に導き、その後、日本一とリーグ三連覇を達成したその手腕には、心からの感謝と最大限の賛辞を贈りたいと思います。中嶋監督とともに積み上げたチームの進化の歩みは球団にとって大切な財産であり、さらに強いチームを作り上げることがわれわれの使命であると考えています」とコメント。続投を望む球団サイドの慰留を中嶋監督が固辞したことを明らかにした。
 2019年に二軍監督として古巣に復帰すると、20年のシーズン途中に監督代行となり、21年から正式に一軍の監督となってチームを三連覇に導いた中嶋監督。さらなる黄金時代を築いていきたい球団が慰留するのは当然だ。

 ただ、シーズン前から今季、優勝を逃したら「区切り」として退任するのではという声が聞かれていたのも事実である。一軍監督就任以来「塩対応」とも言われていたメディア対応も、今シーズンはピリつく場面がなかったわけではないが、驚くほど穏和だった。

 一方で、チームは序盤から絶不調。「打てない」「点が入らない」「ミスをする」「怪我人続出」、そして「勝てない」。フラストレーションは相当なものがあったようで、交流戦ではコーチ陣のローテーションを行うなど、先手先手で策を打ってきたが、状況は最後まで好転しなかった。シーズン終盤も「可能性がある限りは諦めるわけにはない」とCS争いに食らいついていく姿勢を示していたが、チームは大型連敗を喫して4年ぶりのBクラスが決まった。

 球団は功労者である中嶋監督に現時点で「ポスト」を用意していない模様で、今後の去就が気になるところだ。ただ、ここでスパッと辞めて次に進もうと決めてしまうところは、白黒ハッキリしている中嶋監督らしい決断だ。監督に守られ続けていた"中嶋チルドレン"たちは、親離れしたこの先の活躍が恩返しとなる。

 後任監督は内部昇格が濃厚だが、中嶋監督が築いた「全員でつなぐ隙のない野球」の継承が望まれる。また、特に野手陣は個人の能力をさらに引き上げるべく、フェニック・スリーグ、秋季練習、秋季キャンプ、ウインター・リーグ、自主トレで万全の準備をして、来年2月の春季キャンプに備えてもらいたい。

文●どら増田

【著者プロフィール】
どらますだ/1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第9回 特集オリックス・バファローズ』(カンゼン)ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、山本由伸と那須川天心の"神童"対談を実現させたことも。

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