プロ野球

【ドラフトで中日が狙うべき選手】主力流出が濃厚の投手陣底上げが最大の優先課題。スケールの大きな高校生スラッガーも指名したい<SLUGGER>

加賀一輝

2024.10.17

投手陣の人材不足が顕在化しつつあるチームにとって、金丸は喉から手が出るほど欲しい選手だ。写真:THE DIGEST写真部

 いよいよ10月24日にプロ野球ドラフト会議が行われる。各チームの育成状況や弱点を踏まえた上で、「誰を指名するか」ではなく「誰を指名するべきか」という観点からドラフトを展望する。長期低迷が続く中日はどのような戦略で臨むべきだろうか。

【指名方針】
バランス型

 すでに井上一樹新監督の口から「投手を中心」としたドラフトを行う旨が発信されている。

 先発投手の高齢化、小笠原慎之介のメジャー挑戦、そしてが移籍取り沙汰されるライデル・マルティネス……。着手しなければならない課題が多すぎる。従って、投手中心の指名は賛成だ。

 即戦力投手が必要なのはもちろん、近未来のチームを背負ってくれるスケールの大きな高校生も獲りに行きたい。バラエティに富んだ投手の顔ぶれが揃うと良い。

【補強ポイント】
●左のエース候補
 前述の通り、小笠原のポスティングによるメジャー移籍が現実味を帯びている。ここ4年連続規定投球回に到達したのは、セ・リーグだと戸郷翔征(巨人)と小笠原のみ。リーグ屈指のタフネススターターが流出するのは非常に痛い。また、大野雄大も36歳を迎え、キャリアの曲がり角に来ている。右腕は高橋宏斗、松木平優太と楽しみな逸材がいるだけに、2人と双璧を成すような左のエース候補を指名したい。

●即戦力リリーバー
 リリーフ投手は毎年必要といえばそうだが、今オフは特に必要に駆られそうだ。球団はR・マルティネスの慰留に全力を注ぐというものの、単年10億円規模の契約を迫られるかもしれない。ない袖は振れないので、流出に備えてまた新たなリリーバーを指名しておくべきだろう。
 
●将来性豊かな高校生外野手
 立浪和義前政権で20代前半~中盤の若手野手が多く登用され、経験を積んできた。新体制でも彼らが主力を担っていくだろう。今年のドラフトで野手を指名するとしたら、高校生の外野手、特にスラッガータイプに行きたい。現状、岡林勇希より下の年代が不在で、特に左打ちは俊足巧打系の選手を多く抱えているだけに、違いを出したい。

【理想の指名】
1位:金丸夢斗(投手/関西大)
3位:モイセエフ・ニキータ(外野手/豊川高)
5位:工藤泰成(投手/四国IL徳島)

 金丸は今年の目玉の一人で競合必至だが、それだけの価値がある。将来像はおそらく今永昇太(カブス)。体調が万全であれば1年目からローテーション入りはもちろん、エース級の活躍も夢ではない。

 ニキータは高校生外野手のニーズを汲んだ指名。今春のセンバツで新基準バット第1号アーチを放ったパワーは本物だ。左打ちのスラッガーで、地元・愛知出身なのも魅力だ。
独立リーグ屈指の投手・工藤は最速159キロのストレートが武器。清水達也、松山晋也に次ぐ「下位からの成り上がりリリーバー」になることを期待したい。

文●加賀一輝

【著者プロフィール】
かが・いっき。1988年3月6日、愛知県生まれ。成蹊大学卒業後、一般企業を経て独立。ライティング、MCなど幅広く活動する。2016年~23年まで『スポーツナビ』にて編集・編成を担当。在職中に五輪・パラリンピックへの派遣、『Number』『文春オンライン』等への寄稿を経験。趣味は草野球で、1週間で20イニング投げることも。

【関連記事】話題性ではNo.1でもドラフト支配下指名は絶望的? 偉大な父を持つ慶応大・清原正吾の「本当の評価」<SLUGGER>

【関連記事】明治大・宗山と関西大・金丸はいかにしてトップ・プロスペクトとなったのか。2024ドラフト投打の目玉の「ルーツ」を探る――<SLUGGER>