2021年からリーグ3連覇を達成し、22年には日本一にも輝いたオリックスが、今シーズンはまさかの5位。中嶋聡監督は責任をとる形で球団の慰留を受け入れずに退陣した。絶対王者になりつつあったチームがなぜ転落してしまったのか、まずは投手と野手に分けて分析してみたい。今回は投手編をお届けする。
オリックスでは昨オフに山下舜平大が「11」、東晃平は「12」、宇田川優希が「14」、阿部翔太が「20」、山崎颯一郎が「21」にそれぞれ背番号を変更した。山下は山崎福也がFA、で日本ハムへ移籍したため、憧れのダルビッシュ有(パドレス)の番号に変更。東はデビューから"負けない男"として昨年活躍したご褒美として90番台から"昇格"し、宇田川、阿部、山崎の3人は3連覇に貢献したことが認められた形だ。また、阿部は巨人にトレードされた近藤大亮の希望もあって背番号「20」を受け継いだ。
しかし、山本由伸(ドジャース)や山崎の穴を宮城大弥とともに埋めると思われた山下は開幕から絶不調。一時は中継ぎに配置転換されるなど一軍と二軍を行き来する大誤算のシーズンになってしまった。東は6月末まで好投を続けていたものの、右上腕三頭筋の筋損傷により離脱。来シーズンに向けて手術を決断したため、このままシーズンを終えている。宇田川と山崎はキャンプから上半身のコンディション不良に悩まされ、スタートから出遅れてしまう。阿部も好不調の波が激しく、一軍登板は昨年の49試合から17試合に激減した。
さらに山岡泰輔、小木田敦也、平野佳寿らも離脱したにもかかわらず、チーム防御率は2.82(リーグ2位)と決して悪くはなかった。離脱組に代わって、先発では新外国人のアンダーソン・エスピノーザ、ルイス・カスティーヨ、そして2年目左腕の曽谷龍平らが活躍。中継ぎも新加入の吉田輝星、鈴木博志、井口和朋、ルーキーの古田島成龍、高島泰都、新外国人のルイス・ペルドモ、アンドレス・マチャド、そしてベテランの山田修義らがそれぞれ穴を埋めてみせた。結果的に来季に向けてさらに投手陣が厚くなったことは、好材料と捉えていいだろう。
しかし、不思議なことに期待を持って背番号を変更した5選手が、まるで呪われたかのように全選手が離脱してしまったことは、低迷の一つの要因と言える。山下は2年目のジンクスに悩まされた感じが否めず、東も「勝ち続けていた」ことが負傷につながっているのかもしれない。
では三連覇を支えた宇田川、阿部、山崎はどうだろうか。キャンプで宇田川は「昨年ちょっと途中で、なんか疲れてきたりとかで、 どんどんフォームが崩れてきた」と疲労を口にしていた。この言葉がすべてではないかと思う。優勝争いを3年間にわたって繰り広げたことで、張り詰めたマウンドの連続だった中継ぎ陣の疲労は溜まりに溜まっていたのだ。宇田川と山崎はWBCにも出場しており、ここでも緊張の連続だった。
今季彼らの代わりを務めたリリーフ陣も、急な配置転換などによって違った意味で疲労が溜まっているだろう。来年2月のキャンプまでに、全員がしっかりケアをしてコンディションを整えれば、3連覇の時代を超える磐石な投手陣が完成するはずだ。現役時代にオリックスのブルペンを作ってきた岸田護新監督のもと、12球団ナンバーワンの投手陣を再び構築してもらいたい。
文⚫︎THE DIGEST取材班
写真⚫︎野口航志
オリックスでは昨オフに山下舜平大が「11」、東晃平は「12」、宇田川優希が「14」、阿部翔太が「20」、山崎颯一郎が「21」にそれぞれ背番号を変更した。山下は山崎福也がFA、で日本ハムへ移籍したため、憧れのダルビッシュ有(パドレス)の番号に変更。東はデビューから"負けない男"として昨年活躍したご褒美として90番台から"昇格"し、宇田川、阿部、山崎の3人は3連覇に貢献したことが認められた形だ。また、阿部は巨人にトレードされた近藤大亮の希望もあって背番号「20」を受け継いだ。
しかし、山本由伸(ドジャース)や山崎の穴を宮城大弥とともに埋めると思われた山下は開幕から絶不調。一時は中継ぎに配置転換されるなど一軍と二軍を行き来する大誤算のシーズンになってしまった。東は6月末まで好投を続けていたものの、右上腕三頭筋の筋損傷により離脱。来シーズンに向けて手術を決断したため、このままシーズンを終えている。宇田川と山崎はキャンプから上半身のコンディション不良に悩まされ、スタートから出遅れてしまう。阿部も好不調の波が激しく、一軍登板は昨年の49試合から17試合に激減した。
さらに山岡泰輔、小木田敦也、平野佳寿らも離脱したにもかかわらず、チーム防御率は2.82(リーグ2位)と決して悪くはなかった。離脱組に代わって、先発では新外国人のアンダーソン・エスピノーザ、ルイス・カスティーヨ、そして2年目左腕の曽谷龍平らが活躍。中継ぎも新加入の吉田輝星、鈴木博志、井口和朋、ルーキーの古田島成龍、高島泰都、新外国人のルイス・ペルドモ、アンドレス・マチャド、そしてベテランの山田修義らがそれぞれ穴を埋めてみせた。結果的に来季に向けてさらに投手陣が厚くなったことは、好材料と捉えていいだろう。
しかし、不思議なことに期待を持って背番号を変更した5選手が、まるで呪われたかのように全選手が離脱してしまったことは、低迷の一つの要因と言える。山下は2年目のジンクスに悩まされた感じが否めず、東も「勝ち続けていた」ことが負傷につながっているのかもしれない。
では三連覇を支えた宇田川、阿部、山崎はどうだろうか。キャンプで宇田川は「昨年ちょっと途中で、なんか疲れてきたりとかで、 どんどんフォームが崩れてきた」と疲労を口にしていた。この言葉がすべてではないかと思う。優勝争いを3年間にわたって繰り広げたことで、張り詰めたマウンドの連続だった中継ぎ陣の疲労は溜まりに溜まっていたのだ。宇田川と山崎はWBCにも出場しており、ここでも緊張の連続だった。
今季彼らの代わりを務めたリリーフ陣も、急な配置転換などによって違った意味で疲労が溜まっているだろう。来年2月のキャンプまでに、全員がしっかりケアをしてコンディションを整えれば、3連覇の時代を超える磐石な投手陣が完成するはずだ。現役時代にオリックスのブルペンを作ってきた岸田護新監督のもと、12球団ナンバーワンの投手陣を再び構築してもらいたい。
文⚫︎THE DIGEST取材班
写真⚫︎野口航志
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