侍ジャパン

新生・侍ジャパンを象徴する投打の若侍が躍動。指揮官が「非常に大きかった」と絶賛したWBC戦士の“存在感”【プレミア12】

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2024.11.14

先発した井上(左)はウイニングボールに笑顔。適時打を放った牧(右)とツーショットで収まった。写真:田中研治(THE DIGEST写真部)

 新生・ジャパンを象徴する若侍が躍動した。

 11月13日、野球の国際大会「ラグザス presents 第3回 WBSC プレミア12」のグループBオープニングラウンドが開幕を迎えた。2019年大会に続く優勝を目指す侍ジャパンはオーストラリア代表と対戦し、9対3で初陣を快勝で飾った。投げては先発の井上温大が5回0/3を投げ5安打8奪三振2失点の熱投。打っては4番スタメンの森下翔太がレフトへの2点タイムリー二塁打でダメを押した。

 各選手が役割を果たした。まずは大事な初戦のマウンドを託された井上が、初の国際大会で堂々のピッチングを披露した。伸びのある直球、スライダーやフォーク、さらにはツーシームなど変化球を駆使して5回まで毎回の8奪三振。強力オーストラリア打線をゼロに抑え、投げる度に帽子が脱げるほどの躍動感あふれるピッチングで凡打の山を築いていった。井上は「すごく緊張したんですけど、なんとかチームが勝つことができて嬉しい。初戦が大事と感じていたので5回を投げきって試合を作ることができて良かった」と振り返った。

 ただし、悔いも残った。続投した6回に先頭打者の9番ボヤルスキーに初球の直球を豪快にバックスクリーンに運ばれた。その直後には1番バザーナに右前打を許し、74球でマウンドを降りた。本人も「不用意な1球」とランナーを残したまま降板したのは反省しつつも、持ち味のストレートには「自信になった。初戦に勝てたので自分の中ですごく大きい」と、23歳の左腕は大きな手応えを得たようだ。
 
 打線は序盤から好調だった。初回に無死一、三塁から3番・辰己涼介が左犠飛を放ち、日本があっさり先制。1~3番で効果的に先取すると、以降も相手のミスを見逃さず小刻みに得点を積み重ねて5点をリードする。6回には相手のパワフルな一発攻勢で2点差に詰め寄られるも、7回に1死三塁で6番の牧秀悟が中適時打で貴重な追加点を挙げた。井端弘和監督は昨年世界一に輝いたWBC戦士の殊勲打について、「非常に大きかった。2点差というのが一番怖かった」と頼もしい一打だと絶賛したほど。一気に流れを引き寄せた侍ジャパンは8回に森下、5番・栗原陵矢の連続ツーベースでオーストラリアを突き放し、試合を決めた。

 2点適時二塁打を含む3安打2打点の活躍で指揮官の期待に応えた森下は、「4番という打順で名前を呼ばれた時に気が引き締まった」と試合後に吐露。堂々のプレミア12デビューを飾った。「自分はホームランを打って返すようなバッターではないので。今日みたいなチャンスメイクをしながら自分も返すパターンで今後もやっていきたい。ああいう場面でしっかり打てたことが良かった」と胸をなで下ろし、「最後まで4番でいきたい思いはありますね」と次戦の韓国戦に向けて頼もしいコメントを残した。
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指揮官も感じた初戦のプレッシャー「どんな点差でも勝てばいい」