プロ野球

広島の新助っ人DJ・ジョンソンの「パワーカーブ」はNPBを席巻するのか?

THE DIGEST編集部

2020.01.23

DJジョンソンには、試合の終盤でチームの勝利を引き寄せる働きが求められる。(C)Getty Images

 助っ人外国人。それはチームの弱点を最も効率的に補うことができる、即効性のある補強策だ。本コラムでは、昨今の野球界のトレンドを踏まえつつ、2020年シーズンの新外国人選手をピックアップし、注目ポイントと併せて紹介する。今回は、広島に加入したDJ・ジョンソンだ。

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 2019年プロ野球の流行語大賞に「パワーカーブ」は外せない。一般的なカーブが、緩急をつけて打者のタイミングを外すことを目的とするのに対し、速い球速かつ強い回転をかけて空振りを奪うことに重きを置いているのがパワーカーブだ。

 元阪神(現パドレス)のピアース・ジョンソン(以下PJ)の代名詞でもある同球種は、日本の打者にとって未知との遭遇であり、文字通り"魔球"となった。彼が去って間もない中、この魔球の使い手が早くも来日する。

【プレースタイル・役割】
 身長193cmと長身のパワーリリーフ。平均150kmのフォーシームと、決め球となる平均133kmのパワーカーブが持ち味だ。稀にカッター、チェンジアップを織り混ぜるが、ほとんどがこの二球種であり、打者の右左を問わず、それぞれ約6:4の割合で投じる。

 またパワーカーブに目が行きがちだが、フォーシームの球威も高く、メジャーでは奪三振の約4割を占めていて被打率も低い。これらを武器とした高低を使った投球で高い奪三振力を誇り、マイナー(3A)では制球も安定していた。

 昨年の広島は、セーブとホールドの総数が12球団ワーストであり、リリーフ陣に課題を抱えている。DJ・ジョンソンには、試合の終盤でチームの勝利を引き寄せる働きが求められる。
 
【注目ポイント】
 ズバリ「パワーカーブ」だ。

 前述したPJのパワーカーブは横変化が大きい「スラーブ型」である。メジャーでも使い手はライアン・プレスリーやジェフ・ブリガム等と少なく、特殊なパワーカーブの中でもさらに特殊な変化を有する。

 一方、DJ・ジョンソンのパワーカーブは、PJを上回る空振り率を記録しているものの、変化そのものは平均的なカーブに近く、特殊性という視点ではPJに劣っている。一世を風靡したパワーカーブは、PJの特殊性ならではだったのか、あるいは今後も有効な球種となり得るのか、見定めるヒントになりそうだ。

文●NPB外国人選手好きのtweet (@cpmmaff)

【著者プロフィール】
1992年生まれ。外国人選手をターゲットにしたアマチュアスカウティングが趣味の社会人。NPBで輝くことができる候補の発掘や、新外国人選手の分析等、ツイッターで情報発信を続けている。英語力は0。
 
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【データ】PJとDJジョンソンの球種別の変化量の違い