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プロ野球

【キャンプの見どころ】巨人の焦点は「ローテーション争い」と「1番探し」。田口の立ち位置に注目

氏原英明

2020.01.26

あらゆる場面で投入できる田口は貴重な存在だ。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

あらゆる場面で投入できる田口は貴重な存在だ。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

 プロ野球の春季キャンプが一斉にスタートする。フリーエージェント(FA)による移籍やルーキー、新外国人の加入によってチームの編成は新しく様変わりしたが、各チームがシーズンを勝ち抜くためのポイントはどこにあるのだろう。キャンプで注目される見所を探った。

    ◆    ◆    ◆

 巨人のキャンプでは、熾烈なローテーション争いが展開されそうだ。
 
 昨季の最多勝投手・山口俊がブルージェイズへ移籍したピッチングスタッフを見てみると、先発ローテーションはエースの菅野智之、メルセデス、新外国人のサンチェスまでの3枠は決まっている。しかし、残り3つの座に確定ランプがついていない。

 ルーキーながら昨季5勝の高橋優貴、先発転向後7勝をあげた桜井俊貴、先発復帰を目指す田口麗斗を軸に、戸郷翔征、鍬原拓也、畠世周、古川侑利など10数名で争う混沌とした状態だ。

 そんな投手陣の中で注目したいのが田口だ。

 2016、17年シーズンと2年連続で二桁勝利を挙げていた左腕は、2018年の成績が下火になると、昨年は中継ぎに配置転換。この戦略は功を奏した。ただ、そもそも田口は、先発ローテ投手として期待されてきた選手だ。高校時代からのライバル山岡泰輔(オリックス)が、エース格に成長している現状に、本人としても黙っていられないはずである。

 とはいえ、ブルペン陣の顔ぶれをみると、ややサウスポーに枚数が足りない。昨季の11月に侍ジャパンでリリーバーで好投を見せた田口を、リリーフとして使いたくなる事情もあるのだ。

 巨人のリリーバーは、クローザーのデラロサ、その前を投げる中川皓太と形が決まっている。大竹寛も、昨季からリリーフに回って水を得た魚のように再ブレークを果たしている。さらに、澤村拓一、高木京介らのいる中に、田口が残ればブルペンの陣容はおおむね整うが……。田口が自身の立ち位置をどう確立していくのか、注目していきたい。
 
 打線の方は、まず「1番探し」が始まるだろう。

 候補となるのは、吉川尚輝、田中俊太、重信慎之介らだ。

 昨季、開幕スタメンを務めた吉川尚が筆頭だが、腰の状態が危惧される。レギュラーを獲得しても、フルでやれるのかどうかも含めて、キャンプの出来で判断することになるだろう。二番手としては日本シリーズで全試合スタメン出場した田中がリードしているが、重信も面白い。俊足の重信が塁上にいれば、2番・坂本の脅威はさらに増すからだ。

 彼らを脅かす存在として、二塁手では若林晃弘、山本泰寛、増田大輝らの台頭も期待したい。若林はスイッチヒッターという特性を持っているし、山本は粘り強さ、増田大には足がある。

 また、外野手では育成上がりの松原聖弥也も注目のひとりだし、守備の負担を減らすため吉川尚が外野に回ってもいいだろう。

 引退した阿部慎之助の後釜として、一塁には大城卓三が入ることが濃厚だが、このキャンプでは捕手としてスタートさせる見込みだという。そのまま、大城が正捕手の小林誠司からポジションを奪った場合、一塁が空くことになる。そうなれば、イースタンで出塁率が1位の北村拓己、育成から這い上がった高卒2年目の山下航汰などがどれほどアピールするかも見どころになる。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

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【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。

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