「球界は暗黒に続く道を、ひたすら突き進んでいる」
米誌『Sports Illustrated』のライアン・フィリップス記者は、ロサンゼルス・ドジャースが後払い契約を駆使して大型補強を続ける状況を危惧し、MLBに対して規則の見直しを訴えた。
「最初に言っておきたいのは、ドジャースが問題なのではなく、MLBのシステムに問題があるということだ。そのうえで驚くべき点は、ドジャースの膨大な後払い金だ。現在、約10億ドル(約1560億円)の繰延金を帳簿に残している。こうした後払い制度を廃止するべきだ」
ドジャースは2023年12月、大谷翔平と10年総額7億ドル(当時約1015億円)の契約を結んだ。前代未聞だったのは、後払いの額だった。7億ドルのうち6億8000万ドル(約990億円)が、10年契約満了後の34~43年に分割で支払われる。
今冬に獲得したブレイク・スネルは、5年1億8200万ドル(約283億円)のうち6600万ドル(約103億円)が35年から46年にかけて、スコットの4年7200万ドル(約112億円)のうち2100万ドル(約33億円)が後払いと報じられている。ドジャースでは、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマン、T・ヘルナンデス、ウィル・スミス、トミー・エドマンも後払い契約を結んでいる。
「後払い契約はMLBで何十年も前から行なわれているが、ドジャースほど活用している球団はない。ロサンゼルスで起きている現象に不満を抱いているMLBオーナーは29人いる。現在のCBA(選手会との労使協定)は26年12月に失効するが、オーナーたちは大規模な戦いに向けて準備を整えているだろう。オーナーたちは以前から何らかの形で給与上限制度を導入したいと考えており、ドジャースの支出はファンを味方につける完璧な材料となった」
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そう記したフィリップス記者は、現実的な解決方法を挙げている。
「選手会とファンを満足させる最低年俸を定め、同時にぜいたく税の超過に対して厳しい罰則を設ける。もし超過を繰り返すようなら、さらなる厳罰を与える。巨額の罰金、ドラフトの最初の指名権5人分の剥奪、トレードで獲得できる選手の年俸制限、国際FAの予算を現在の475万ドル(約7.4億円)から100万ドル(約1.6億円)に削減するなどだ」
また、後払い契約の選手に対するぜいたく税の算出方法にも注文をつけた。「10年7億ドルで契約した大谷は、6億8000万ドルを後払いとした。年俸は200万ドルで、ぜいたく税上の計算では4600万ドルの選手となる。これがおかしい。どれほどの金額を契約満了後に受け取るのは自由だが、大谷のぜいたく税の年間給与は7000万ドルであるべきだ」と、大谷を例に挙げて説明している。
リーグ全体の戦力格差を解決するため、フィリップス記者はもうひとつの案を提示した。
「各球団の放映権収入の一部をプールし、それをMLB30球団で均等分配すればいい。ドジャース、ニューヨーク・ヤンキース、ニューヨーク・メッツなど、大都市球団は激しく抵抗するだろうが、このやり方は多くの球団に戦うチャンスを与えるはずだ」
さらにフィリップス記者は、「MLBのシステムには崩壊する兆候がある」と続け、「MLBはチーム間の大きな財政格差に目を向け、解決策を考え始める必要がある。いま対応策の準備を始めなければ、現在のCBAが期限切れになったときに事態は悪化する可能性が高い」とし、MLBは大きな転換点に差し掛かっていると強調した。
構成●THE DIGEST編集部
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米誌『Sports Illustrated』のライアン・フィリップス記者は、ロサンゼルス・ドジャースが後払い契約を駆使して大型補強を続ける状況を危惧し、MLBに対して規則の見直しを訴えた。
「最初に言っておきたいのは、ドジャースが問題なのではなく、MLBのシステムに問題があるということだ。そのうえで驚くべき点は、ドジャースの膨大な後払い金だ。現在、約10億ドル(約1560億円)の繰延金を帳簿に残している。こうした後払い制度を廃止するべきだ」
ドジャースは2023年12月、大谷翔平と10年総額7億ドル(当時約1015億円)の契約を結んだ。前代未聞だったのは、後払いの額だった。7億ドルのうち6億8000万ドル(約990億円)が、10年契約満了後の34~43年に分割で支払われる。
今冬に獲得したブレイク・スネルは、5年1億8200万ドル(約283億円)のうち6600万ドル(約103億円)が35年から46年にかけて、スコットの4年7200万ドル(約112億円)のうち2100万ドル(約33億円)が後払いと報じられている。ドジャースでは、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマン、T・ヘルナンデス、ウィル・スミス、トミー・エドマンも後払い契約を結んでいる。
「後払い契約はMLBで何十年も前から行なわれているが、ドジャースほど活用している球団はない。ロサンゼルスで起きている現象に不満を抱いているMLBオーナーは29人いる。現在のCBA(選手会との労使協定)は26年12月に失効するが、オーナーたちは大規模な戦いに向けて準備を整えているだろう。オーナーたちは以前から何らかの形で給与上限制度を導入したいと考えており、ドジャースの支出はファンを味方につける完璧な材料となった」
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そう記したフィリップス記者は、現実的な解決方法を挙げている。
「選手会とファンを満足させる最低年俸を定め、同時にぜいたく税の超過に対して厳しい罰則を設ける。もし超過を繰り返すようなら、さらなる厳罰を与える。巨額の罰金、ドラフトの最初の指名権5人分の剥奪、トレードで獲得できる選手の年俸制限、国際FAの予算を現在の475万ドル(約7.4億円)から100万ドル(約1.6億円)に削減するなどだ」
また、後払い契約の選手に対するぜいたく税の算出方法にも注文をつけた。「10年7億ドルで契約した大谷は、6億8000万ドルを後払いとした。年俸は200万ドルで、ぜいたく税上の計算では4600万ドルの選手となる。これがおかしい。どれほどの金額を契約満了後に受け取るのは自由だが、大谷のぜいたく税の年間給与は7000万ドルであるべきだ」と、大谷を例に挙げて説明している。
リーグ全体の戦力格差を解決するため、フィリップス記者はもうひとつの案を提示した。
「各球団の放映権収入の一部をプールし、それをMLB30球団で均等分配すればいい。ドジャース、ニューヨーク・ヤンキース、ニューヨーク・メッツなど、大都市球団は激しく抵抗するだろうが、このやり方は多くの球団に戦うチャンスを与えるはずだ」
さらにフィリップス記者は、「MLBのシステムには崩壊する兆候がある」と続け、「MLBはチーム間の大きな財政格差に目を向け、解決策を考え始める必要がある。いま対応策の準備を始めなければ、現在のCBAが期限切れになったときに事態は悪化する可能性が高い」とし、MLBは大きな転換点に差し掛かっていると強調した。
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