昨年のシーズン最終戦の試合後より多い、日本メディアの群れの中に、今永昇太(カブス)はスッと自然に入ってきた。
【画像】「エーッ!?」「超かわいい」と話題…MLB開幕シリーズバージョンのちいかわ「食べ物で買収されそうな審判w」
キャンプ期間限定の水色の帽子をかぶった背番号18は、共同会見で畏まった表情を崩さず、「ある程度、流れは読めているので、去年の反省をしっかり活かして、2年目に臨みたいなと思ってます」と語った。
メジャーリーグ(MLB)2年目のキャンプは、話題に事欠かない。
何と言っても、3月18日・19日に行なわれるドジャースとの「日本開幕戦」を控えている。昨季、ワールドシリーズ王者となった大谷翔平という名の「巨星」がいる。さらにエース級の活躍が期待される山本由伸、そして、「未来のエース」佐々木朗希と注目の日本人選手が3人揃っている。それだけで我々日本メディアにとっては、書くネタに事欠かない。
何の思慮もせずに言うと、昨季、15勝3敗、防御率2.91でサイ・ヤング賞にも投票されたカブスの主戦投手・今永と、メジャー屈指のスラッガーとして認知されている鈴木誠也は「大谷とドジャースの仲間たち」にとっての「敵役」である。
昨今の球界には、格闘技のような殺伐とした感じは存在しないが、対戦相手があって成り立つのが野球というスポーツだ。今永自身があっけらかんと「大谷選手に乗っかって、たくさんメディアに出たいなと思いますね」と言うように、今後も新聞・テレビの取材が殺到するのは間違いない(日本の皆さんは今後、主要メディアを通じて、その喧騒を目撃することになる)。
その日本での開幕投手については「何年、野球をやってもそこは目指すべきだと思う」。山本と投げ合う可能性についても、「もしも投げ合いが実現できれば、これほど幸せなことはない」とこちらが求める答えを提供してくれる。
昨季終盤、最小3人程度で取材していた側からすると、「ちょっと待てーい!」と思ってしまうような優等生発言であるが、実はあちこちに「小刀」のような物を隠していて、それを時折出すのが、今永先生流の取材対応である。 質疑応答の序盤で口にした「日本でもアメリカでも、油断したらやられる世界なので、2年目の余裕が油断に変わらないようにしたい」という言葉の、「2年目の余裕」という部分を突っ込まれると、その「小刀」がほんの一瞬、キラリと光る。
「そういう考え方をしてしまうと足元を救われる。2年目の余裕を持たないようにやりたいなと思っている。いつでもフレッシュに、新鮮に、何事にも臨んでいきたいという気持ち」
そろそろ、ざっくりした質問を訊くタイミングである。
――オフはずっと日本で過ごして、久しぶりに英語圏に帰ってきた。何か思うことはある?
「何ヵ月も日本にいたので、あると思ったんですけど、不思議となくて。この感覚も初めてだったんですけど、キャンプインの時って毎年、あーっ始まるのかーっと言うか、ちょっと後ろ向きなところも日本時代はあったんですよね」
そういうことを言うと、日本プロ野球や古巣・横浜DeNAベイスターズを上から目線で見たように聞こえてしまうが、思慮深くフォローするのもまた今永先生である。
「別にそれが悪いわけじゃなくて、よし、これから始まるんで、気合い入れなきゃいけないなっていう、何かそういう気持ちでいたんです。でも、不思議と去年、シーズン終えた瞬間から、早くこのキャンプが来てほしい、1月後半に日本で自主トレしている時も、早く自分が渡米する日にならないかなって思いながら日本で過ごしていた。何か新しい自分になれたような気がします」
新しい自分。
なんだかよく分からないが、いい響きの言葉だと思った。
件の自主トレーニング、今永は淡々と基礎工事をする建設作業員のように、日本の若い選手たちとともに汗を流していた。ピッチャーなのでキャッチボールや投球練習に注目していたが、パワーや瞬発力の向上を念頭に置き、高出力のピッチングを実践するためのトレーニングを黙々と行う姿は今でも印象的だ。
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キャンプ期間限定の水色の帽子をかぶった背番号18は、共同会見で畏まった表情を崩さず、「ある程度、流れは読めているので、去年の反省をしっかり活かして、2年目に臨みたいなと思ってます」と語った。
メジャーリーグ(MLB)2年目のキャンプは、話題に事欠かない。
何と言っても、3月18日・19日に行なわれるドジャースとの「日本開幕戦」を控えている。昨季、ワールドシリーズ王者となった大谷翔平という名の「巨星」がいる。さらにエース級の活躍が期待される山本由伸、そして、「未来のエース」佐々木朗希と注目の日本人選手が3人揃っている。それだけで我々日本メディアにとっては、書くネタに事欠かない。
何の思慮もせずに言うと、昨季、15勝3敗、防御率2.91でサイ・ヤング賞にも投票されたカブスの主戦投手・今永と、メジャー屈指のスラッガーとして認知されている鈴木誠也は「大谷とドジャースの仲間たち」にとっての「敵役」である。
昨今の球界には、格闘技のような殺伐とした感じは存在しないが、対戦相手があって成り立つのが野球というスポーツだ。今永自身があっけらかんと「大谷選手に乗っかって、たくさんメディアに出たいなと思いますね」と言うように、今後も新聞・テレビの取材が殺到するのは間違いない(日本の皆さんは今後、主要メディアを通じて、その喧騒を目撃することになる)。
その日本での開幕投手については「何年、野球をやってもそこは目指すべきだと思う」。山本と投げ合う可能性についても、「もしも投げ合いが実現できれば、これほど幸せなことはない」とこちらが求める答えを提供してくれる。
昨季終盤、最小3人程度で取材していた側からすると、「ちょっと待てーい!」と思ってしまうような優等生発言であるが、実はあちこちに「小刀」のような物を隠していて、それを時折出すのが、今永先生流の取材対応である。 質疑応答の序盤で口にした「日本でもアメリカでも、油断したらやられる世界なので、2年目の余裕が油断に変わらないようにしたい」という言葉の、「2年目の余裕」という部分を突っ込まれると、その「小刀」がほんの一瞬、キラリと光る。
「そういう考え方をしてしまうと足元を救われる。2年目の余裕を持たないようにやりたいなと思っている。いつでもフレッシュに、新鮮に、何事にも臨んでいきたいという気持ち」
そろそろ、ざっくりした質問を訊くタイミングである。
――オフはずっと日本で過ごして、久しぶりに英語圏に帰ってきた。何か思うことはある?
「何ヵ月も日本にいたので、あると思ったんですけど、不思議となくて。この感覚も初めてだったんですけど、キャンプインの時って毎年、あーっ始まるのかーっと言うか、ちょっと後ろ向きなところも日本時代はあったんですよね」
そういうことを言うと、日本プロ野球や古巣・横浜DeNAベイスターズを上から目線で見たように聞こえてしまうが、思慮深くフォローするのもまた今永先生である。
「別にそれが悪いわけじゃなくて、よし、これから始まるんで、気合い入れなきゃいけないなっていう、何かそういう気持ちでいたんです。でも、不思議と去年、シーズン終えた瞬間から、早くこのキャンプが来てほしい、1月後半に日本で自主トレしている時も、早く自分が渡米する日にならないかなって思いながら日本で過ごしていた。何か新しい自分になれたような気がします」
新しい自分。
なんだかよく分からないが、いい響きの言葉だと思った。
件の自主トレーニング、今永は淡々と基礎工事をする建設作業員のように、日本の若い選手たちとともに汗を流していた。ピッチャーなのでキャッチボールや投球練習に注目していたが、パワーや瞬発力の向上を念頭に置き、高出力のピッチングを実践するためのトレーニングを黙々と行う姿は今でも印象的だ。