ロサンゼルス・ドジャース専門メディア『Dodgers Digest』のダスティン・ノスラー記者が、現地2月24日の記事で“投手”大谷翔平の球種を分析し、2年ぶりに復活する二刀流に期待した。
「大谷がマウンドに戻ったら、何かできるのか?」と問いかけたノスラー記者は、「私を含む多くの人は、大谷は打者よりも投手として有望だと考えていた。マウンド上でエース級の潜在能力を秘めている」と投手としてのポテンシャルを大きく評価した。
さらに、「投手として最も好調だったのは15勝を挙げた22年だった。166イニングで防御率2.33、FIP2.40、奪三振率26.5%を記録。23年は10勝、防御率3.14の数字を残したが、2度目の右肘手術を前に成績が落ち込んだ」と近年の投手成績を振り返った。
続けてノスラー記者は、大谷の球種を分析。4シームは「23年で速度を少し落とし、回転数をわずかに上げた。以前は100マイル(約160.9キロ)を超える球を投げていたが、2年ぶりに投手復帰する今シーズン、スピードがどこまで戻っているのかが見ものだ」と記している。
一方で「大谷の頼みの綱」と評したのが、スイーパーだ。「頻繁にスイーパーを投げ、成功を収めている。速度を抑えて空振りを誘う球だが、多くの変化球と同様に本塁打を打たれやすい。大谷が許した53本の本塁打のうち、22本がスイーパーだった」と振り返った。
次に挙げたのが、スプリット。「MLBでの481.2イニングのうち、スプリットを投げたのはわずか13.2%しかない。この球種はすべての球種のなかで、信じられないほど効果的だった。使用率は21年の18.1%、22年の11.9%、23年の6.2%と年々減っているが、空振り率はいずれのシーズンでも40%を超えている。ヒントになるのはどこに投げたのかが分かるヒートマップかもしれない。21年はストライクゾーンの低めが多く、22年はストライクゾーンのわずか下、ボールになる場所が多い。それが23年は全体的に散らばっており、コントロールを制御できなかったのかもしれない」と分析している。
【動画】エンジェルス時代の大谷翔平が、打者を打ち取ったスイーパー&シンカー!
さらにカッターを紹介。「大谷は21年にカッターを習得したが、成績はよくなかった。カッターで三振をとったのはわずか1回だ。ちなみにカーブでは3つの三振を奪ったが、カーブを投げたのはカッターよりも182回少なかった。22年は使用量を3分の1ほどに減らしたが、状況はよくなった。23年は22年より55%も多く投げたが、同じく結果は芳しくなかった」と、データ上では結果を残していない球種だと伝えている。
「大谷のような投手でも、うまく扱えない球種があるということだ。大谷は幅広いレパートリーを持っており、カッターの使用を減らしたとしても、エリートレベルの投手なのは間違いない。しかし、ドジャースはスイーパーを活かすための球種として、このカッターに価値を見出すだろう。実戦での投手データが集まり次第、チェックしたいポイントだ」
続いてノスラー記者は、カーブに注目した。「21年から23年にかけてカーブを投げたのはわずか5.4%。大谷はあまりカーブを使わないが、おそらくほとんど使っていないためか、非常にいい結果を生み出している。予測被打率は、21年が.273、22年が.160、23年が.154だった。カッターを減らしてカーブの割合を増やすかもしれない。スイーパーやスプリットに代わるものではないが、使用する価値はあるだろう」と、効果的なボールになりうる可能性を指摘している。
最後に取り上げたのはシンカーだ。「有効性の点では、4シームと同じカテゴリーに分類できる球種だ。使用頻度の低い球で、カーブと同様にカッターの割合が減れば使用頻度が上がってくる可能性がある。注目は空振り率で、22年は27.0%、23年は22.5%だった。23年のリーグ空振り率は14.3%、24年のそれは13.9%だったため、大谷のシンカーの空振り率はとても印象的だ。ドジャースはシンカーや2シームの使用率を5.8%(22年)→11.0%(23年)→12.1%(24年)と、年々増やしている。もしかしたら、シンカーが大谷の秘密兵器になる可能性がある。もし最高のシンカーを自在に投げ込めるなら、リーグは終わりを迎えるかもしれない」と、大谷の切り札としてシンカーを挙げた。
このように大谷の球種を説明したノスラー記者は、「打席に立つ大谷も楽しかったが、マウンドに立つ姿を見るのは大きな興奮を伴うだろう。もちろん、手術からうまく復帰するのが大前提だ。キャンプで大谷はブルペン投球を行なっている。もし球速が100マイルに届かないとしても、世界の終わりではない。賢い選手であり、エリート級の速球に頼らなくてもいい能力を備えている」と“投手”大谷を高く評価した。
「それに、もしかしたらこれまで以上に速い球を投げるかもしれない。いずれにせよドジャースファンは“二刀流”大谷の、真の姿を目撃することになる。大谷がマウンドで投球する姿を見るのが待ちきれない」
ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は3月18~19日に日本で開催される東京シリーズの前に、大谷が実戦形式練習で打者相手に投げる可能性を示唆。二刀流復帰へ、“投手”大谷の調整が続いている。
構成●THE DIGEST編集部
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「大谷がマウンドに戻ったら、何かできるのか?」と問いかけたノスラー記者は、「私を含む多くの人は、大谷は打者よりも投手として有望だと考えていた。マウンド上でエース級の潜在能力を秘めている」と投手としてのポテンシャルを大きく評価した。
さらに、「投手として最も好調だったのは15勝を挙げた22年だった。166イニングで防御率2.33、FIP2.40、奪三振率26.5%を記録。23年は10勝、防御率3.14の数字を残したが、2度目の右肘手術を前に成績が落ち込んだ」と近年の投手成績を振り返った。
続けてノスラー記者は、大谷の球種を分析。4シームは「23年で速度を少し落とし、回転数をわずかに上げた。以前は100マイル(約160.9キロ)を超える球を投げていたが、2年ぶりに投手復帰する今シーズン、スピードがどこまで戻っているのかが見ものだ」と記している。
一方で「大谷の頼みの綱」と評したのが、スイーパーだ。「頻繁にスイーパーを投げ、成功を収めている。速度を抑えて空振りを誘う球だが、多くの変化球と同様に本塁打を打たれやすい。大谷が許した53本の本塁打のうち、22本がスイーパーだった」と振り返った。
次に挙げたのが、スプリット。「MLBでの481.2イニングのうち、スプリットを投げたのはわずか13.2%しかない。この球種はすべての球種のなかで、信じられないほど効果的だった。使用率は21年の18.1%、22年の11.9%、23年の6.2%と年々減っているが、空振り率はいずれのシーズンでも40%を超えている。ヒントになるのはどこに投げたのかが分かるヒートマップかもしれない。21年はストライクゾーンの低めが多く、22年はストライクゾーンのわずか下、ボールになる場所が多い。それが23年は全体的に散らばっており、コントロールを制御できなかったのかもしれない」と分析している。
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さらにカッターを紹介。「大谷は21年にカッターを習得したが、成績はよくなかった。カッターで三振をとったのはわずか1回だ。ちなみにカーブでは3つの三振を奪ったが、カーブを投げたのはカッターよりも182回少なかった。22年は使用量を3分の1ほどに減らしたが、状況はよくなった。23年は22年より55%も多く投げたが、同じく結果は芳しくなかった」と、データ上では結果を残していない球種だと伝えている。
「大谷のような投手でも、うまく扱えない球種があるということだ。大谷は幅広いレパートリーを持っており、カッターの使用を減らしたとしても、エリートレベルの投手なのは間違いない。しかし、ドジャースはスイーパーを活かすための球種として、このカッターに価値を見出すだろう。実戦での投手データが集まり次第、チェックしたいポイントだ」
続いてノスラー記者は、カーブに注目した。「21年から23年にかけてカーブを投げたのはわずか5.4%。大谷はあまりカーブを使わないが、おそらくほとんど使っていないためか、非常にいい結果を生み出している。予測被打率は、21年が.273、22年が.160、23年が.154だった。カッターを減らしてカーブの割合を増やすかもしれない。スイーパーやスプリットに代わるものではないが、使用する価値はあるだろう」と、効果的なボールになりうる可能性を指摘している。
最後に取り上げたのはシンカーだ。「有効性の点では、4シームと同じカテゴリーに分類できる球種だ。使用頻度の低い球で、カーブと同様にカッターの割合が減れば使用頻度が上がってくる可能性がある。注目は空振り率で、22年は27.0%、23年は22.5%だった。23年のリーグ空振り率は14.3%、24年のそれは13.9%だったため、大谷のシンカーの空振り率はとても印象的だ。ドジャースはシンカーや2シームの使用率を5.8%(22年)→11.0%(23年)→12.1%(24年)と、年々増やしている。もしかしたら、シンカーが大谷の秘密兵器になる可能性がある。もし最高のシンカーを自在に投げ込めるなら、リーグは終わりを迎えるかもしれない」と、大谷の切り札としてシンカーを挙げた。
このように大谷の球種を説明したノスラー記者は、「打席に立つ大谷も楽しかったが、マウンドに立つ姿を見るのは大きな興奮を伴うだろう。もちろん、手術からうまく復帰するのが大前提だ。キャンプで大谷はブルペン投球を行なっている。もし球速が100マイルに届かないとしても、世界の終わりではない。賢い選手であり、エリート級の速球に頼らなくてもいい能力を備えている」と“投手”大谷を高く評価した。
「それに、もしかしたらこれまで以上に速い球を投げるかもしれない。いずれにせよドジャースファンは“二刀流”大谷の、真の姿を目撃することになる。大谷がマウンドで投球する姿を見るのが待ちきれない」
ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は3月18~19日に日本で開催される東京シリーズの前に、大谷が実戦形式練習で打者相手に投げる可能性を示唆。二刀流復帰へ、“投手”大谷の調整が続いている。
構成●THE DIGEST編集部
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