プロ野球

【2025ドラフトで指名するべき選手:セ・リーグ編】大砲育成が急務の巨人、広島は創価大・立石、DeNAは甲子園を沸かせた剛速球右腕がおすすめ

西尾典文

2025.04.10

センバツでも150キロ超のストレートで甲子園を沸かせた石垣。高校生では最注目の選手と言っていいだろう。(写真)THE DIGEST写真部

 プロ野球もいよいよ開幕したが、アマチュア野球も4月に入り本格的に公式戦がスタート。ドラフト戦線も活発に動き出す時期となった。今シーズンの戦いぶりで補強ポイントはこれから変わってくるはずだが、現時点で各球団が狙うべき選手は一体誰なのか。パ・リーグ6球団から一人ずつ「おすすめ選手」を選んでみよう。

▼巨人
立石正広(内野手│創価大)
 まずセ・リーグ連覇を狙う巨人。来年オフには主砲の岡本和真が海外FA権を取得する見込みで、メジャー移籍となればその穴を埋めるのは簡単ではない。昨年のドラフトでも石塚裕惺、荒巻悠という強打者タイプを獲得しているが、今後もその方針は続けるべきではないだろうか。そうなるとやはり筆頭候補となるのが立石正広(創価大)だ。パワーは大学生No.1であり、サードだけでなくセカンドも守れるというのも大きい。"ポスト岡本"という意味では最適な人材と言えそうだ。

▼阪神
松川玲央(内野手│城西大)

 巨人とは対照的に昨年は上位3人が投手の指名だった阪神。1位の伊原陵人(NTT西日本)が即戦力の期待に応えており、高卒3年目の門別啓人も初勝利を挙げるなど、若手の投手は底上げできている印象を受ける。一方で野手は近本光司、大山悠輔、木浪聖也が今年で31歳となり、中野拓夢も少し成績を落としているだけに彼らの後継者候補を充実させておきたい。巨人でも挙げた立石正広(創価大)ももちろん候補だが、ショートで挙げたいのが松川玲央(城西大)だ。レベルの高い首都大学一部リーグで2年秋から3季連続でベストナインを獲得。特にそのスピードは圧倒的なものがある。この春もすでに2試合で4盗塁を決めている。リードオフマンとしてプロでも早くから活躍できる可能性も高いだろう。

▼DeNA
石垣元気(投手│健大高崎高)

 昨年は26年ぶりの日本一を達成。しかし、巨人、阪神の上位2球団と比べると戦力は少し見劣りする印象で、補強ポイントも少なくない。先発投手陣は外国人選手への依存度が高く、リリーフもベテランの力が落ちているだけに、昨年に続いて力のある投手を積極的に狙いたいところだ。昨年は社会人、大学生、独立リーグからの指名だっただけに、今年は高校生も積極的に指名したい。

 そこで名前が挙がるのが石垣元気(健大高崎)だ。今春のセンバツでは脇腹を痛めた影響で本調子ではなかったが、それでも150キロ以上を連発しており、出力の高さは歴代の高校生でも屈指と言える。将来のエース候補として真っ先に指名することも検討したい。
▼広島
立石正広(内野手│創価大)

 昨シーズンは終盤に急失速して4位に沈んだ広島。特に得点力不足が課題で、昨年も佐々木泰(青山学院大)、渡邉悠斗(富士大)という強打者タイプを指名しているが、今年も重ねて野手を狙うことを検討すべきではないだろうか。

 そうなると、やはり巨人で名前を挙げた立石正広(創価大)が筆頭候補となる。佐々木と同じ三塁がメインの選手だが、前述したように二塁を守ることができ、また佐々木もキャンプでは外野の練習も行っていることを考えると共存は可能なはずだ。ポジション的には秋山翔吾の後釜となるセンターも気になるが、今年は外野手で目玉と言える選手は不在なだけに、コンバートまで視野に入れてまずは打てる選手を狙いたい。

▼ヤクルト
高木快大(投手│中京大)

 2021~22年のリーグ連覇から一転して2年連続で5位に低迷。投手不足が長年の課題であり、毎年のように上位で投手を指名しているものの、故障に悩む選手が多く、いまだに解消の目途は立っていない。今オフに主砲の村上宗隆がメジャーに移籍する可能性が高いだけに野手の底上げも必須だが、やはり投手が最優先となりそうだ。

 高校生であればDeNAで挙げた石垣元気(健大高崎)が筆頭候補となるが、比較的早く戦力になる投手としておすすめしたいのが高木快大(中京大)だ。昨年は春のリーグ戦で完全試合を達成し、3年生ながら大学日本代表としても活躍。大学選手権では神宮球場でも好投を見せている。ホップ成分の多いストレートは数字以上に勢いがあり、試合を作る能力も高い。昨年1位で指名した中村優斗(愛知工業大)と両輪を形成できれば、投手陣の将来はかなり明るくなりそうだ。

▼中日
松下歩叶(内野手│法政大)

 球団史上ワーストの3年連続最下位に沈んでいる中日。投手、野手ともに補強ポイントは多いが、昨年は金丸夢斗(関西大)、吉田聖弥(西濃運輸)と力のある投手を上位で獲得できただけに、今年はやはり野手を優先したい。筆頭候補となるのはこれまでも名前の挙がっている立石正広(創価大)だが、競合となる可能性も高いだけに、他の候補も考えておきたい。

 そこで名前を挙げたいのが松下歩叶(法政大)だ。昨年は秋のリーグ戦14試合で5本塁打、13打点をマークしており、飛ばす力は立石にも引けを取らない。内野のあらゆるポジションを守った経験があるのも強みだ。期待されながら伸び悩んでいる石川昂弥に刺激を与える意味でも、面白い人材と言えるだろう。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。