いったい何が起こったのか。スタジアムを騒然とさせたのは、ひとつの心無い野次がきっかけだった。

　現地４月27日、クリーブランド・ガーディアンズvsボストン・レッドソックスの一戦。７回表、打席に立ったレッドソックスのジャレン・デュラン外野手はセンターフライに倒れる。その際、スタンドから卑劣な野次が飛んだという。激高したデュランがその男性客の元へ詰め寄り、激しい口調で怒りを露にする。チームメイトやスタッフらが懸命になだめ、落ち着きを取り戻したデュランは７回裏に守備についた。
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　デュランは４月８日に公開されたネットフリックスのドキュメンタリー番組内で、過去に重度のうつ病を患って自殺未遂に及んだ事実を告白していた。自身の経験を広く世に伝える重要性を感じ、公表する決断に至ったという。

　驚くべきことに今回の野次は、その自殺未遂に関連する内容だった。デュランは公式インスタグラムのストーリーズに、レッドソックスOBの解説者であるウィル・ミドルブルックス氏のＸ投稿を引用。そこには「絶対的に受け入れがたい行動がファンからなされた。チャンスの時に自殺すべきだったと彼に言い放ったんだ。胸糞が悪い」と説明されていた。デュランが怒り心頭となったのも無理はない。

　男性客は警備員に連れられて強制退場となった。デュランは試合後の取材に応じ、神妙な面持ちで「とあるファンが不適切なことを言ってきたけど、警備員も審判もうまく対応してくれた。本当に感謝している」とコメント。そのうえで「僕の周りには素晴らしいサポートがたくさんいる。チームメイト、コーチがいて、支えてくれるファンもいてくれる。すごくありがたい」と続けた。ホームチームであるガーディアンズもすぐさま公式声明を発表。デュラン、レッドソックス、そしてファンに向けて謝罪する事態にまで発展した。
  　地元ボストンのラジオ局『98.5 The Sports Hub』のタイラー・ミリケン氏は「自殺未遂したデュランを揶揄しただと？　クソ食らえだ！」と断罪。ほかにもネット上ではファンからの怒りの声が収まらず、「めちゃくちゃな話だよ」「マジで信じられない」「そんな奴は生涯出禁にしろ！」「人としてあり得ない言動だ」「なんで酷い出来事だろうか」「野球ファンの恥だ！」など波紋が広がっている。

　この日のデュランは６打数４安打１打点と大暴れ。レッドソックスを13対３の大勝に導くハイパフォーマンスを披露した。

構成●THE DIGEST編集部
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