現地５月11日、米紙『USA Today』のボブ・ナイチンゲール記者が報じた内容が波紋を呼んでいる。ナイチンゲール記者は「ロサンゼルス・ドジャースが、シーズン終了後にFAになるシカゴ・カブスの外野手カイル・タッカーの争奪戦に参入する計画がある」と報道。多くのメディアが記事を引用するなど、大きな話題となった。

　そんななか、米メディア『FanSided』のマーク・パウエル記者は、「ドジャースとタッカーのニュースに、カブスファンは激怒している」と題した記事を公開。「シカゴのファンは、この報道に満足していない」とカブスファンの反発を報じた。

　2022年にゴールドグラブ賞、23年に打点王に輝いたメジャー屈指の外野手は、24年12月に１対３のトレードでヒューストン・アストロズからカブスに移籍。シーズン開幕から打率.269、10本塁打、32打点、OPS.910と、評判通りの活躍を見せている。

　タッカーはシーズン終了後にFAになるため、当然のようにファンは球団に対して新たな契約締結を要求。カブスもその意向のようだが、話はスムーズに進まなそうだ。

『MLB.com』のマーク・フェインサンド記者は４月16日、「タッカーはシーズン中に契約延長にサインするのか？」と題した記事で「複数のMLB球団幹部は、シーズン中に新契約を結ぶ可能性は低いと見ている」と報道。「カブスとしては他球団に先駆けて契約延長を試みるのが合理的だが、加入して間もないタッカーがすぐに交渉に応じるのは難しいかもしれない」と伝えている。

　こうした状況を踏まえて、パウエル記者は「そこで登場するのがドジャースだ」と力を込めた。「ドジャースには現状でも十分なスター選手が揃っている。タッカーと契約するのはひとつの可能性だが、しかしロサンゼルスにとって必ずしも必要な選択肢ではない」とし、ドジャースの動きが「カブスのほか、タッカーを狙う他球団にとって大きな意味を持つ」と続けた。

【動画】ドジャース戦でタッカーが特大アーチ！
  「ドジャースは球界のデス・スター（スターウォーズに登場する架空の宇宙要塞・人工天体でスーパーレーザー砲を搭載）だ。彼らはそれを分かっているし、私たちもそう理解している。ドジャースのような強豪を倒すためには、タッカーのような選手を遠ざけなければならない」と、タッカーのワールドシリーズ王者への移籍に反対したパウエル記者は、ドジャースフロントの真の狙いを指摘した。

「フアン・ソトの争奪戦の時のように、ドジャースは獲得競争で無理に勝ちにいくことはないだろう。しかし、LAが競争力のあるオファーを出すことでタッカーの要求額が上昇し、リーグのライバル球団が争奪戦から脱落するのであれば、ドジャースが動く価値は十分ある」

　タッカーの去就とドジャースフロントの動きは、シーズンを通じて大きな注目を集めそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

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