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MLB

「これは私たちが選んだ人生なんだ」ドジャース長年の功労者テイラーへの非情の解雇通告で思い出したロバーツ監督の言葉<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2025.05.19

21年にはオールスター出場も果たすなど、球界屈指のスーパーユーティリティとして一時代を築いたテイラー。(C)Getty Images

21年にはオールスター出場も果たすなど、球界屈指のスーパーユーティリティとして一時代を築いたテイラー。(C)Getty Images

 5月18日(現地)、ドジャースはトミー・エドマンの故障者リストからの復帰に伴い、クリス・テイラーを解雇したことを発表した。先日のオースティン・バーンズに続き、チームを長年支えてきたベテランへ非情な決断が下されることになった。

 テイラーは、マックス・マンシーと並んでアンドリュー・フリードマン編成総責任者の“最大のヒット作”と言っても過言ではない。

 14年にマリナーズでメジャーデビューを果たしたテイラーだが、16年6月19日にドジャースへ移籍した時点では通算86試合で打率.240、0本塁打、OPS.593。当時の彼は、メジャーとマイナーを往復する非力な内野手に過ぎなかった。

 ところが、フライボール革命の波に乗り、アッパースウイングを会得したことで長打力が開花。翌17年は21本塁打とブレイクして29年ぶりリーグ優勝の立役者となった。また、バッテリーと一塁以外はどこでもこなす超便利屋としても貢献。遊撃、二塁、レフト、センターなど故障者が出るたびにポジションを転々としながら常勝軍団を支えた。

 大舞台にも強く、17年ワールドシリーズ第1戦での先頭打者本塁打、18年リーグ優勝決定シリーズ第7戦での超美技、21年ワイルドカード・ゲームでのサヨナラ弾、同年リーグ優秀決定シリーズ第5戦での1試合3本塁打...と、いくつもの名場面を演出した。

 数多くのスター選手がチームに加わっては退団する中、バイプレーヤーながら10年間に渡ってドジャーブルーのユニフォームを着続けた。そのこと自体が、いかにテイラーがフリードマン編成総責任者から高く評価されていたかを物語っている。
 だが、昨季から成績が急降下。今季も、ここまで28試合に出場してわずか35回しか打席数を与えられていなかった。誰もが驚いたバーンズの戦力外とは違って、テイラーの場合は本人もいつ「その時」が来てもおしかくないと覚悟していただろう。

 だからといって、長年の功労者を解雇する決断は簡単ではなかったはずだ。フリードマン編成総責任者は「我々全員にとって感傷的な1週間になった。バーンジーとCT(テイラーの愛称)は、このチームの歴史的な瞬間にいくつも立ち会ってきた。チームのカルチャーにも多大な影響を与えた」とこれまでの労をねぎらった。

 フリードマン編成総責任者は、昨年もシーズン中に非情な決断を下している。8月、ゴールドグラブ5度の実績を誇り、クラブハウスのリーダーとして誰からも尊敬を集めていたジェイソン・ヘイワードを解雇したのだ。しかも、劇的な代打決勝3ランを放った直後の措置だっただけに、ショックも大きかった。

 この時のデーブ・ロバーツ監督のコメントが強く印象に残っている。ロバーツ監督は、ヘイワードが優れた人格者だったこと、チームの誰もがショックを受けていることに言及してから次のように続けた。

「だが、このことが今夜以降のゲームに影響を与えるとは思わない。これは私たちが選んだ人生だからだ。ベースボールはたくさんの素晴らしい成果を与えてくれるものだが、時にはつらい瞬間もある。繰り返すが、これは私たちが選んだ人生なんだ」

 おそらく今回も、ロバーツ監督は同じことをドジャースの選手たちに説くだろう。いや、わざわざ監督に言われなくても彼らは十分理解しているかもしれない。

構成●SLUGGER編集部

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