偉才の振る舞いが“野球不毛の地”で注目を集めている。

　ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平が現地６月19日、本拠地でのサンディエゴ・パドレス戦に１番・指名打者で先発出場し、９回に球速100マイル（約160キロ）の直球をぶつけられた。相手投手に向け観客から強烈なブーイングが飛んだが、死球を受けた直後の大谷の仕草に殺伐とした雰囲気が緩和された。
【動画】「出てこなくていい！」死球直後、大谷翔平が両軍をなだめた大人の対応の一部始終（別角度あり）

　９回表、ドジャー・スタジアムが騒然となる事件が起きた。パドレスの主砲フェルナンド・タティースJr.が手首付近に死球を受けて悶絶。これにパドレスのマイク・シルト監督が激怒して飛び出した。するとドジャースのデーブ・ロバーツ監督も反応して詰め寄り、ベンチから両軍の選手たちが一斉に出てきて乱闘騒ぎに発展。両軍の監督が退場する異様な事態となった。

　さらにその裏には、大谷がパドレスの守護神ロベルト・スアレスの剛速球を右脇腹付近に受けた。自軍スターに向けた報復死球とみられても仕方がない場面にドジャースベンチは怒り心頭。チーム一筋の通算213勝左腕クレイトン・カーショウもベンチのフェンスを越えようとした。

　しかし、その時だった。死球を受けた直後、大谷は左手を挙げて「誰も出て来るな！僕は大丈夫だから」というようなジェスチャーをベンチに向かって示した。一触即発の状況のなか、大谷は再び乱闘が起きないよう自軍ベンチをなだめてから一塁へ歩いた。
  　大谷の驚くべき行動には日米の野球ファンや米識者から賞賛が溢れ出たが、異国からも大きな脚光を浴びた。英国の日刊紙『The Guardian』は「オオタニが冷静な対応で死球合戦のドラマを鎮めた」と報じ、その振る舞いを称えている。

　記事ではタティースJr.と大谷の死球を巡り、両チームに遺恨が勃発したと説明。そのうえで、「ドジャースの選手たちがダグアウトの手すりを越えてグラウンドになだれ込もうとしたとき、オオタニはチームメイトらに左手を振り返し、彼らの怒りを鎮めた。そのあと一塁ベース上でオオタニは相手一塁手と握手を交わした」と驚きを持って紹介。普段はサッカーが圧倒的な紙面数を割く同紙が日本人スターに関心を寄せていた。

　宿敵とのカード４連戦は計８個の死球が飛び交い、両チームの間で大きな因縁が生まれた。その中で大谷のスポーツマンシップ溢れる行動には、野球がマイナースポーツとして認知されている英国からも畏敬の眼差しで見られている。

構成●THE DIGEST編集部

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