前日の引退発表後はハヤテファンのみならず、横浜ファンからも惜別のメッセージがSNSに多数投稿されていたことには「ベイスターズ時代から、また静岡に来てからもいろんな方法で応援してくださったので、本当に心から感謝してます。いい時も悪い時も変わらず声援をいただき、それがあったから僕はマウンドに立つことができましたし、ここまで野球を続けてこられたと思います。本当に18年間、大きな声援いただきありがとうございました」と長年応援し続けてくれたかけがいのない存在に、改めて感謝の念を表した。
  　その後サプライズでは横浜時代の先輩である石川雄洋氏が花束を贈呈。田中は「僕が投げているとセカンドからいつも声をかけていただいて、ほんとその声に救われて心強い存在でした。野球以外でもプライベートでも何度もご飯に連れてっていただいて、すごく貴重なお話を聞けましたし、相談に乗ってもらったのでいい兄貴的な存在です」と笑顔を見せた。

　石川も「素直で人懐っこくてみんなから好かれるところがあるので、ちょっと泣きそうです」としんみりしながらも「これまでたくさん投げてきたので少し身体を休めて、また野球界に戻ってきていただきたいです」とこれからも野球界への貢献を願っていた。

　さらに「仕事で行けない」と来場を断りつつも現れた1つ上の梶谷隆幸氏に「これが仕事だったんですね」と田中もビックリ。梶谷も「石川さんみたいに本当のこと言っても面白くないので、ちょっと嘘つきました」とニヤリとしながら「18年高いレベルの野球を仕事としてこう求められてきのは、彼の人柄とこう努力があってこそだと思うので、本当にリスペクトしてます。まずはお疲れ様と、あとは引退おめでとうございます、ですね」と後輩を労った。

　TBS時代の2人の先輩たちのエールを受け「もう本当にお世話になった先輩方なので、本当にありがたく思いますし、今後とも人生の先輩としてよろしくお願いします」と恐縮しながらも、しっかりとお礼を述べた。

　TBS時代から身を粉にして横浜を引き上げる原動力となった田中健二朗。実直な言動で、石川達也や宮城滝太ら数多の後輩に慕われ、なんといっても多くのファンにも支持された背番号46番は、振り続けてきた左の腕を、静かに休ませる。

取材・文●萩原孝弘

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