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プロ野球

DeNAはなぜ打つ手を失ったのか? ソフトバンクを日本一に導いた小久保監督の「勝負の采配」【日本シリーズ第4戦】

THE DIGEST編集部

2026.10.29

 相手の追加点を防ぎ、その裏に逆転に成功。そして、相手の反撃を鎮める。5回の継投は細心の注意を払った試合の流れ大きく左右する采配だった。

 6回に1点を追加すると、そこからは小久保監督はシナリオを描いた。

 6回はヘルナンデス、7回はオスナが抑える。そして、8回に松本裕樹を送り込んだ。
松本は第1、2戦で8回を任せながら2本塁打を浴びていた。前日の試合ではベンチ入りを外れていた。その松本を、日本一に近づいた試合の8回に起用した。
 
 過去の登板を考えれば不安がなかったとは言えない。それでも再び重要な局面を託された松本はチームが勝利に向かうための大切な役割を担った。

印象的だったのは、マウンドに向かう松本に対するファンの声援だった。小久保監督は日本一を決めた優勝インタビューでこうファンに感謝している。

「松本裕樹の登板時のファンの皆さんの声援が、彼にとってはすごく後押しになったと思います。ありがとうございました」

8回を松本が抑えると、9回は4試合連続登板となった杉山一樹が締め括った。

「投手陣もよく頑張ってくれましたし、打撃陣も諦めずに、やっぱりこのホームランという本当野球の流れを変えるいいところで出ましたし、杉山に関しては 1勝3セーブ、全試合登板でね、本当に締めくくってくれました」

 小久保監督は、投打の奮闘をそう振り返った。

 本拠地・みずほPayPayドームでの胴上げを目標に掲げていたという小久保監督。その目標を達成するまでの道のりには、選手たちの力はもちろん、勝負どころでの判断があった。打順の変更が逆転につながり、5回の継投が相手の反撃を封じる。さらに、終盤は救援陣を送り出し、最後までリードを守り抜いた。

 采配は、結果だけを見て成功か失敗かで語られがちだ。しかし、重要なのは、試合のどこで動き、何を防ぎ、次の展開につなげるかという判断の積み重ねである。

 日本シリーズ第4戦のソフトバンクは、先制されても慌てず、逆転した後も相手に流れを渡さなかった。小久保監督は局面ごとに手を打ち、チームを勝利へと導いた。DeNAはなす術がなかったと言える。

 本拠地で日本一を決める。小久保監督の采配が随所に光った一戦だった。

文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。

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